韓米関係
李在明大統領「在韓米軍柔軟化への同意は困難」 農産物市場開放でも立場の相違 韓米首脳会談
李在明(イ・ジェミョン)大統領とトランプ大統領は25日(現地時間)、米ワシントンで就任後初めてとなる韓米首脳会談を行い、同盟国としての責任と役割について意見を交換した。在韓米軍の戦略的柔軟性を含む安全保障問題や、対米投資の総額や方式など経済・通商分野での双方の立場の違いについて議論が行われた。
【写真】李在明大統領が書いた芳名録
安全保障分野では在韓米軍の防衛費分担金を含む国防費の増額、在韓米軍の役割の見直し、米国のインド洋太平洋戦略に対する韓国の協力拡大などが争点になった。トランプ大統領は先月、韓国が支出する在韓米軍防衛費分担金について「1年に100億ドル(約1兆5000億円)支出すべきだ」と発言した。今年韓国が負担する防衛費分担金は10億ドル(約1500億円)を少し超える額のため、トランプ大統領はその10倍近くを要求したのだ。ただし首脳会談前の高官級協議や実務協議では韓国の国防予算については段階的に増額し、米国製兵器の購入を増やす方向で調整が行われたという。
中国問題も安全保障分野における争点の一つだった。米国防総省は事前の協議で在韓米軍の「戦略的柔軟性」を拡大し、在韓米軍の構成と運用を北朝鮮抑止から中国抑止中心へと見直し、「韓米相互防衛条約」上の共同対応の範囲も韓半島限定ではなくインド太平洋全域に広げることなどを明確にするよう求めた。
これに対して韓国政府は「韓米同盟を固く維持しつつ、隣国として中国との関係も管理する必要がある」と米国に訴えたという。李在明大統領は機内で記者団の取材に応じた際「韓米日協力も重要であり、韓日、韓米協力も重要だ。しかし韓国は他の周辺国との関係を完全に敵対的にする必要はない」との考えを示した。
李在明大統領は在韓米軍の戦略的柔軟性について「簡単には同意できない問題」としながらも「調整も交渉」と述べた。李在明大統領は「在韓米軍の未来型戦略化、そんな話が韓国の立場では必要だ」と説明した。陸海空と宇宙・サイバー・電子戦・情報など多領域の作戦が可能な多領域効果大隊(MDEB)の在韓米軍への配置などは必要という趣旨とみられる。
対北朝鮮政策での協力も会談の議題となった。李在明大統領も首脳会談前、対北朝鮮政策での協議について「必要な話は何でも全てやりたい」「一度道筋をつくらねばならないと思う」との考えを示していた。
両首脳は今回の会談で経済や通商分野での協議に多くの時間を割いたという。トランプ大統領は「韓国は対米貿易黒字国」として、韓国に対しより多くの米国への投資と市場開放を繰り返し要求してきた。これに対して韓国政府は「韓国の経済規模や通商構造、国内世論などから米国の要求をそのまま受け入れるのは難しい」と説明している。
先月末の関税交渉はトランプ大統領が設定した期限に合わせ妥結を優先させた側面が強かった。そのため「韓国は3500億ドル(約52兆円)規模の投資ファンドを立ち上げ、米国は韓国への関税率を25%から15%に引き下げる」という大枠が決まっただけで、実質的な協議はできず問題も多かった。
中でも米や牛肉の輸入拡大を含む農畜産物市場の開放については会談前から激しいやりとりがあった。ホワイトハウスは一貫して「韓国は米や農産物市場の『歴史的開放』をする」と表明してきた。これに対して李在明大統領は機内でメディアに対し「すでに大きな合意を米国大統領自ら発表した」「変えようと言うから変えますとは簡単に言えないことだろう」と述べた。
関税交渉で妥結を引き出した3500億ドル規模の対米投資ファンドも両国の解釈が異なっている。3500億ドルの内訳は韓米造船協力ファンドの1500億ドル(約22兆円)、造船業以外では半導体や原発、2次電池、バイオなどの分野で対米投資ファンド2000億ドル(約30兆円)となっている。問題は米国が「投資先はトランプ大統領が指定し、収益の90%は米国国内に改めて投資する」と主張してきた点だ。また米国は融資や保証ではなく直接の出資を望んでおり、具体的な出資額の明記も要求したという。
今回の会談前に韓国大統領府は各企業から対米直接投資(工場を建設するグリーンファンド投資)計画を聴き取り、それを取りまとめて米国に伝えたという。これは対米3500億ドルファンドとは別だ。訪米に同行した企業は約1500億ドル前後の中長期投資計画を発表する計画を進めている。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者、キム・テジュン記者