▲李在明大統領とドナルド・トランプ大統領が25日(現地時間)、米国ワシントンのホワイトハウスで首脳会談を行っているところ。/写真=聯合ニュース

 25日(現地時間)に開かれた韓米首脳会談で、米国のドナルド・トランプ大統領が韓国の特別検察官(特検)チームによる教会家宅捜索などに言及したことに伴い、これまでも論争になっていた特検の捜査が外交問題に飛び火した。

【写真】1日で2度指摘するトランプ大統領

 トランプ大統領はこの日、ホワイトハウスの執務室で開かれた李在明(イ・ジェミョン)大統領との会談で「私は情報当局から(韓国の)教会に対する家宅捜索があったと聞いた」とし「もしそれが事実であれば、非常に悪いことだろう」と語った。首脳会談に先立って行われた行政命令署名式典でも、トランプ大統領は「韓国の新政権が教会を過酷に家宅捜索し、在韓米軍基地に入って情報を取得したと聞いた」と発言した。李大統領が首脳会談で「米軍を直接捜査したものではなく、部隊内にある韓国軍の統制システムがどのように作動したか確認したもののようだ」と説明すると、トランプ大統領は「米軍基地を捜査したといううわさを聞いた」とも述べた。

 トランプ大統領が言及した「米軍基地情報取得」「教会家宅捜索」とは、それぞれ内乱特検による烏山空軍基地家宅捜索、殉職海兵隊員特検の金章煥(キム・ジャンファン)・李永勲(イ・ヨンフン)牧師、汝矣島純福音協会などに対する家宅捜索を念頭に置いたもの、との解釈が出ている。この捜査は、家宅捜索が行われた当時も韓国政界で「韓米同盟の毀損(きそん)」「宗教の自由の侵害」などの論争を呼び起こしていた。金建希(キム・ゴンヒ)前大統領夫人特検が統一教本部を家宅捜索したことに関しても、統一教側は「宗教弾圧」と反発した。

 だが、異例かつ無理な捜査だという批判にもかかわらず、特検はいまだにこれといった捜査の成果を出せていない。内乱特検は7月21日に烏山空軍基地内の韓国空軍の中央防空統制所(MCRC)を家宅捜索した。特検は、ドローン作戦司令部が昨年10月から11月にかけての「平壌無人機潜入作戦」前後に空軍へ協力公文を送ったかどうかなどを把握しようとした。だが烏山基地は在韓米軍と韓国空軍が共同使用している施設なので、論争になった。韓国の捜査機関が在韓米軍基地内で強制捜査をしたことになったからだ。特検は、韓国側の司令官による承認の下で家宅捜索を進めたが、関連公文などを確認できなかったといわれる。その後、関連の捜査は進捗(しんちょく)がない状況だ。韓国政界からは「関連資料の任意提出を受けるという方法もあるのに、特検が韓米関係を繊細に考慮しないまま性急に烏山基地を家宅捜索し、外交的誤解の余地を提供した」という指摘が出た。

 殉職海兵特検は7月18日、改新教牧師などがイム・ソングン元海兵第1師団長の救命ロビー活動に関わった疑いがあるとして、金章煥・極東放送取締役と李永勲・汝矣島純福音教会担任牧師などに対する家宅捜索を繰り広げた。当時、特検の関係者は「改新教がイム元師団長の救命ロビー活動のルートである可能性を確認するもの」と語った。しかし金・李牧師など改新教界は「軍関係者との電話記録が出たという理由だけで、参考人を被疑者扱いしているようだった」「厳然たる宗教の自由を侵害するもの」と反発した。李牧師の自宅を家宅捜索する過程では特検が、李牧師の配偶者が夫や弁護人に電話できないようにして論争を招いたこともあった。その後、特検は40日が経過しても押収物の分析をしているばかりだ。この家宅捜索と関連する主な関係者の事情聴取は行われていないという。海兵特検の関係者は「押収物についてフォレンシック(鑑識)の手続きがほぼ終わり、間もなく事情聴取を行う予定」と語った。李牧師はこの日の朝の礼拝で「今後は現政権が教会を尊重すると信じる」と述べた。

 トランプ大統領はこの日の首脳会談3時間前、自身が立ち上げたSNS(交流サイト)「トゥルース・ソーシャル」に「韓国で今、何が起きているのか。粛清か革命のように見える」という書き込みも行った。これを巡り韓国政界では、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領や韓悳洙(ハン・ドクス)前首相など前政権の人物に対する特検の捜査と裁判を意識したものではないか、という声が上がった。内乱特検は、捜査開始からわずか3週間後の7月10日に尹・前大統領を職権乱用・公務執行妨害などの容疑で再勾留した後、追加起訴し、李祥敏(イ・サンミン)元行政安全相を内乱重要任務従事の容疑で勾留起訴した。最近は、内乱ほう助容疑で韓・前首相に対する勾留状を請求し、朴性載(パク・ソンジェ)元法相と沈雨廷(シム・ウジョン)前検察総長(検事総長)に対する家宅捜索を行った。韓・前首相の令状実質審査は27日に開かれる。

兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者、イ・セヨン記者

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