▲第22代国会の第429回定期国会(通常国会)開会式であいさつする禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長。1日撮影。

 3日に中国北京で開催された戦勝節80周年軍事パレードの際、天安門に座った禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長が左にいた人物と握手する様子が外信に撮影された。この人物はミャンマーで大統領権限代行を務めるミャンマー軍最高司令官のミン・アウン・フライン(69)だった。2021年のミャンマー・クーデターや抵抗する市民への武力鎮圧、イスラム系少数民族のロヒンギャ族弾圧などにより「独裁者」「虐殺者」として国際社会から強く非難を受けている人物だ。そのため韓国の進歩陣営の一部から「国会議長が握手したのは不適切」との声が上がっている。

【写真】ミャンマー軍事政権トップのミン・アウン・フライン最高司令官

 ミン・アウン・フライン率いるミャンマー軍は2021年2月に武力を使って国家非常事態を宣布し、選挙で選ばれた正当性を持つ民主政府を転覆し、政権の中心だったアウンサンスーチー国家顧問を逮捕した。これに抗議し独裁に反対する大規模な民主化運動が起こると、ミン・アウン・フラインは武力鎮圧を指示した。ミャンマー軍は非武装の民間人を無差別銃撃したため、民主化勢力も武装して抵抗し現在ミャンマーでは内戦状態が続いている。

 少なくとも7000人が軍に抵抗して死亡し、150万人が国境を越えて難民となった。米国や欧州連合などはミャンマー軍部に対して経済制裁を行っているが、ミン・アウン・フラインは昨年大統領権限代行に就任した。

 ミン・アウン・フラインはロヒンギャ族弾圧も指示した。仏教徒が大多数を占めるミャンマーでイスラム教を信じるロヒンギャ族は長い間差別と迫害に苦しんできた。特に2017年にミャンマー軍がラカイン州で行ったロヒンギャ族に対する大規模な残虐行為では数千人が犠牲となり、75万人がバングラデシュに避難した。この過程で軍部による無差別虐殺や性暴力などの犯罪行為があったことも確認されている。この作戦を指揮した責任者もミン・アウン・フラインだった。昨年11月に国際刑事裁判所(ICC)検察局はロヒンギャ問題の責任を追及しミン・アウン・フラインの逮捕状を請求した。

 ミン・アウン・フラインは1977年に士官学校を卒業し歩兵将校となった。ニューヨーク・タイムズ紙は「士官学校時代に仲間をいじめたことでその名が知られていた」と報じている。ただし将校となってからはその謙遜さから信望を得て順調に出世し、2009年に特殊作戦司令官として少数民族放逐作戦を成功させて頭角を現し、11年にミャンマー軍総司令官に就任した。

 禹元植議長は一連の指摘について4日に取材に応じ「ミャンマーには1500人の韓国人が居住しているため、(ミン・アウン・フラインに)韓国人の安全と生活に関心を持つよう求めた」とした上で「多国間外交の場で先に握手を求められたら断る方法はない」「ミャンマー民主化のために努力する活動家たちと連帯する思いは持っている」と述べた。これまで禹元植議長はミャンマーの民主化を支持し、2021年に光州民主化運動41周年記念行事に出席した際には「光州精神を受け継ぎミャンマー民主化を実現したい」とするミャンマー代表の式辞を直接聞いた。ミン・アウン・フラインによる軍部独裁に反対する意味から現地の人たちが行う「3本指の敬礼」も行った。

ウォン・ソンウ記者

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