経済総合
李在明知事時代に行われた京畿道民対象低金利融資、4人に3人は返済していなかった【独自】
年利15%の一部庶民向け融資について李在明(イ・ジェミョン)大統領が先日「残忍だ」と指摘し金利を下げるよう求めたが、その李在明大統領が京畿道知事在任中に果敢に実行に移した年利1%の超低金利庶民向け融資の現状を確認したところ、満期が過ぎても4人に3人が返済していないことが分かった。そのため専門家の間からは「返済が困難な庶民を支援するのであれば、福祉的な観点で政府が財政により支援を行った方がよい」だとか「金融機関に圧力を加え金利を下げるという市場原理に反した無理な政策は通用しない」などの指摘が相次いでおり、また「(京畿道の事例から)教訓を得るべきだ」との声も出ている。
【表】京畿道民対象低金利融資の内容と実績
■年利1%でも4人に3人は返済せず
京畿道や京畿福祉財団などが12日に公表した資料によると、「極低信用融資」と呼ばれた上記の融資は李在明大統領が京畿道知事在任中、低所得で信用が低い京畿道民を対象とする公共福祉事業の一環として行われた。
この制度では信用等級下位10%以下の19歳以上の京畿道民を対象に5年満期、年利1%で最大300万ウォン(現在のレートで約32万円、以下同じ)の融資が行われた。当時信用等級が最も低い9-10等級向けの銀行による無担保融資は金利が年10%ほどだったため、この融資は破格と言えた。この制度で2020年4月から22年11月までに11万415人が総額1374億ウォン(約146億円)の融資を受けた。この制度は「李在明票金融福祉」とも呼ばれた。
それから5年が過ぎ今年から満期が到来し始めているが、融資を受けた人のうち74%が満期後も返済に応じないため京畿道は頭を痛めている。今年4月から8月末までに満期が到来した極低信用融資4万8930件、額にして276億ウォン(約29億3000万円)のうち全額返済されたのはわずか24.5%(1万1982件)にとどまった。債務調整(1.6%)を受けたり、裁判所で破産が認められるなど管理終結(0.3%)となった融資を合わせても26%だ。
残りの約74%、3万6021件は満期が過ぎても返済されず、その額は207億ウォン(約22億円)に達している。ただし35%に当たる1万7277件のうち、1万2391件は借り手がすでに最大5年の満期延長を申請しており、残り4886件は分割返済を申し出ている。これらは総額で104億ウォン(約11億1000万円)だ。
しかし残る1万8744件は返済が行われておらず、うち1万4286件は借り手に連絡もつかないという。
■借り手の39%は連絡もつかず
また今後の満期到来分のうち多くが延滞となる可能性が高いという。事業を行う京畿福祉財団が融資を受けた約11万人のうち7万8082人に連絡したところ、3万764人(約39%)は連絡がつかず、そのうち6354人は融資を申請した際に記載した電話番号が存在していなかった。
それでも連絡がついた約4万7300人のうち「必ず返済する」と答えた人は約2万8700人で、残り約1万7000人は「返済が難しい」と訴え、また約1180人は返済義務を失念、あるいは返済の意志がないようだった。野党・国民の力所属のチ・ミヨン京畿道議会議員は「返済がすでに遅れた借り手のうち、今後返済に応じる可能性のある人はほぼいない。このままでは融資全体のほぼ半分に当たる約600億ウォン(約64億円)が焦げ付き、道民の税金で埋め合わせる事態になる」と指摘した。
融資の管理に必要な費用もばかにできない。最初に融資が行われた直後の2020年には受付担当者1000人を臨時で採用し、それに伴う人件費は21億7600万ウォン(約2億3100万円)に達した。その後も財団とのやりとりのため10人以上の職員を採用し、昨年はその人件費として3億7164万ウォン(約3946万円)を支出した。
一連の状況について西江大学経済学部のパク・チョンス教授は「低金利で庶民を支援すると金融市場の仕組みに問題が生じ、延滞者が急増するなど市場を混乱させる可能性が高い」とした上で「むしろ財政で弱者を支援した方がよい」と指摘した。
延世大学のキム・ジョンシク名誉教授も「不況時には庶民を支援する政策が必要だが、無理に金利を下げて融資を行う政策はモラルハザードを招き、また相対的剥脱感を抱かせる恐れもある」「働くことで所得を引き上げる方向へと政府は政策を転換すべきだ」と提案した。
郭彰烈(クァク・チャンリョル)記者