▲グラフィック=NEWSIS

 【NEWSIS】北京に住む70代の女性が、一生かけて貯めた約1億ウォン(約1000万円)を美容整形施術につぎ込んだことが本人の死去後に分かり、女性の息子が全額返金を求めているという。

【写真】美容施術で唇がアヒルのようになった米女性(TikTokより)

 香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が11日(現地時間)、報じた。それによると、北京に住むイェンさんは、今年6月に敗血症で死去した母親の遺品を整理していたところ、「ツイツイ」という人物から送られてきた数十件のメッセージと不在着信の痕跡を発見した。

 調べたところ、イェンさんの母親は、ツイツイという人物とほぼ毎日連絡を取り合い、北京の整形・美容施術専門業者に総額48万元(約1000万円)を送金していたことが分かった。

 この業者は、顔面まひを患っていたイェンさんの母親に美容整形の施術を繰り返し勧め、3年間で20回以上の施術を行っていたという。

 イェンさんは「母は月に6000元未満の年金でつつましく暮らし、顔面まひを患っていたので化粧もしたことがなかった」「そんな母に整形を勧めたとは、悪意が感じられる。母はわずか2カ月で20万元以上も使った。スタッフたちに良心はあるのか」と怒りをぶちまけた。

 イェンさんは「施術を受けても母の容姿には何の変化もなかった」として、返金を要求した。しかし業者側は「既に施術は終わっており、返金は不可能だ」とかたくなに要求を拒否したという。

 イェンさんは「私が望んでいるのは、全額返金」だとして「年老いた親がいる場合、とにかく家族が頻繁に連絡をして、このような被害を防ぐことが大切だ」と呼び掛けた。

 今回の事件は、中国国内での美容整形産業の規制がずさんだという実態をあらためて浮き彫りにしたとの指摘が出ている。SCMPは「中国政府は違法施術の取り締まりを強化しているが、依然として基準があいまいで、被害が後を絶たない」と報じた。

 このエピソードを知った現地のネットユーザーからは「カネに目がない悪徳業者」「老人を狙った詐欺だ」「老人に容姿に関する強迫観念を植え付ける社会に問題がある」などと怒りの混じったコメントが相次いだ。

イ・ソウォン記者

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