▲イラスト=UTOIMAGE

 英ロンドンの病院で、パーキンソン病の患者が脳の手術中にクラリネットを演奏し、話題になっている。医療陣はこの様子を見ながら手術の効果をリアルタイムで確認したという。

【写真】パーキンソン病患者デニス・ベーコンさんが脳手術中にクラリネットを演奏する様子

 英紙デイリー・メールなど海外メディアが22日(現地時間)、報じた。それによると、パーキンソン病を患う60代の女性デニス・ベーコンさんは最近、英ロンドンのキングス・カレッジ病院で、脳深部刺激療法(DBS)の手術を受けた。DBSとは、中枢神経系の特定の部位に電気刺激を与え、神経コントロール機能を改善するという手術法だ。通常、パーキンソン病のような神経系疾患の患者に対して行われる。

 パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質のうち運動に必要な「ドーパミン」dopamine)を分泌する神経細胞が原因不明のまま徐々に失われていく疾患だ。認知症に次いで一般的な退行性脳疾患として知られており、世界中でおよそ1000万人が患っている。通常は、筋肉のこわばり、身体の震え、動作緩慢、姿勢の不安定さといった運動障害の症状が現れる。

 DBSは通常、患者が覚醒している状態で執刀するケースが多い。運動機能の改善など、手術の効果をリアルタイムで確認しなければならないからだ。デニスさんも頭皮と頭蓋骨だけ部分麻酔をした状態で4時間にわたる手術を受けた。デニスさんは、手術中に脳に電気刺激が与えられると、指の動きがなめらかになるのを体感することができたという。

 医療陣は、効果をさらに確実に確認するために、デニスさんにクラリネットを渡した。クラリネットの演奏が好きだったデニスさんは、2014年にパーキンソン病と診断されて以降、演奏はもちろんウォーキングや水泳、ダンスなどを楽しむことも困難になった。デニスさんは手術中に脳に電流刺激が加えられると、慣れた手つきで指を動かし、手術室はクラリネットの美しいメロディーで満たされたという。

 執刀したキウマルス・アシュカン医師は「デニスさんは情熱的なクラリネット奏者だったため、手術中に演奏することを提案した」「刺激を与えた直後から指の動きと演奏能力が即座に向上するのを確認することができた」と述べた。今回の手術で、デニスさんは胸に充電式の脳刺激装置を移植した。この装置は最大で20年間使用でき、自動で刺激の強さをコントロールする。

ムン・ジヨン記者

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