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「戦争で負傷したおじを治療して」 赤の広場でプーチン大統領に直談判した11歳少女が話題に
ロシアに住む11歳の少女が、ウラジーミル・プーチン大統領の前で「戦争で負傷したおじが治療を受けられるようにしてほしい」と毅然とした態度で訴える様子が報道され、話題になっている。
【写真】少女の訴えに耳を傾けるプーチン大統領
英紙インディペンデントなどが7日、報じた。それによると、プーチン大統領は今月4日、モスクワの赤の広場で開催された「民族統一の日」の行事に出席した。
この日、キーラという11歳の少女は、プーチン大統領に歩み寄った。プーチン大統領が「私に何をしてほしい?」と尋ねると、キーラさんはためらうことなく「おじが現在、最前線にいます。腕をけがして病院にいましたが、全く治療してもらえませんでした。病院はおじを再び戦場に送り返そうとしています。おじをロシアのいい病院に移してください」と求めた。
するとプーチン大統領は「おじさんを探し出してあげるよ。分かったね?」と答えた。キーラさんはこれに対し「おじの名前はアントン・フィシュラです」と伝えた。
キーラさんはプーチン大統領に、手作りのチェブラーシカ(耳が大きくて丸いソ連時代のキャラクター)人形をプレゼントし、人形が「おじさんたちに幸運をもたしてくれるでしょう」と話す一幕もあった。
これに対し、プーチン大統領は「必ず実行する。おじさんのことを覚えていてくれてありがとう。いい子だね」と話した。さらに、キーラさんを抱き寄せて額にキスをすると、その場を離れた。
このようなキーラさんの様子は電波を伝って話題になり、その後キーラさんの家族のエピソードがSNS(交流サイト)で拡散された。
キーラさんは昨年、ドネツクの戦場に投入された父親のウラジーミル・ピメノフさん(36)を亡くし、母親と妹のアナスターシャさん(7)と共に暮らしているという。ピメノフさんには勇気の勲章が授与された。キーラさんの母親のビクトリア・ピメノワさんは「祖国戦死家族委員会」で弁護士として活動し、戦争で被害を受けた家族の声を伝えることに尽力している。また、負傷したおじのアントンさんには9歳と18歳の息子がいるという。
フランス紙ル・パリジャンは「ロシアの軍隊では、病気やけがをした兵士たちが適切な治療を受けられずに、強制的に突撃部隊に投入されるということが頻繁に起きている」と報じた。その上で「ウクライナの戦場で起きている戦死者の処理および負傷兵の処遇というデリケートな問題が、一人の少女を通じて明らかになった」と指摘した。
英紙デイリーメールは「プーチン大統領がロシア軍の兵士たちを『消耗品』扱いしていることについて、その残酷さを直接指摘されるのは異例のことだ」「プーチン大統領が11歳の少女に屈辱を受けた」とつづった。他の外信各社も「一人の幼い少女の真実の声と勇気が、戦争に苦しむロシアの悲劇を世間に知らしめた瞬間だ」などと報じた。
キム・ガヨン記者