▲イラスト=UTOIMAGE

 暗号資産(仮想通貨)富豪として知られるロシア国籍の夫婦がアラブ首長国連邦(UAE)で行方不明になり、それから1カ月後に遺体で発見された。

 ロシア・メディアのモスクワ・タイムズや米ニューヨーク・ポストなどが12日(現地時間)に報じた。それによると暗号資産投資を手がける実業家のロマン・ノバクさんとその妻アンナ・ノバクさんは10月初めにドバイで行方不明になった。

【写真】ロシアの富豪ロマン・ノバクさんと妻のアンナ・ノバクさん

 二人は正体不明の投資家から投資の誘いを受け、実際に会うため現地に向かい連絡が途絶えた。最後に二人が目撃されたのは10月2日にドバイのハッタ山岳リゾート近くの湖で投資家に会うため移動中の時だった。

 二人は湖の近くで車から降り、別の車に乗り換えたと最初のドライバーは供述しているが、二人はその際に拉致されたとみられる。

 ロシアの独立系メディアのフォンタンカ(Fontanka)によると、拉致を行った犯行グループは二人をハッタのある建物に連れ込み、ノバクさんに暗号資産口座のパスワードを要求したという。ところが口座には意外にも何もなかったため、犯行グループは二人を殺害し遺体を損壊した上で一部をごみ箱に捨て、残りは砂漠に埋めたとみられる。

 事件を捜査しているロシアの捜査当局によると、二人のスマートフォンからのシグナルは行方不明後も数日間ハッタやオマーンの山岳地帯で発信されていたが、南アフリカ共和国のケープタウンで最後に受信された後の10月4日に完全に途絶えた。犯行グループが捜査を混乱させる目的でスマートフォンをあちこちに持ち出したと捜査当局はみている。

 事件と関連して8人のロシア人がすでに逮捕されている。ニューヨーク・ポストによると、その中にはノバクさんにだまされた元投資家やロシア内務省の元職員なども含まれていたようだ。うち3人は殺害の実行犯とみられ、残りは犯行に使われたとみられる凶器を準備するなど殺害を計画した疑いがある。

 ノバクさんはロシア、中国、中東などの投資家から資金を集め暗号資産アプリ「Fintopio」を開発した。ノバクさんはSNS(交流サイト)を通じて妻と共に高級車、プライベート・ジェット、リゾートでの様子などを公開し、豪勢な暮らしぶりを誇示していた。

 ノバクさんは暗号資産関連の詐欺に長い間手を染めていたことも知られている。投資家から約10万ドル(約1500万円)をだまし取った容疑でロシアで懲役6年が宣告されたが早期出所していた。

キム・ジャア記者

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