▲13日午前10時54分ごろ、京畿道富川市内の第一市場で、1トントラックが市場の歩道を猛スピードで暴走し、突っ込むという事故が発生した。写真=聯合ニュース

 13日午前、京畿道富川内の第一市場で1トントラックが暴走して突っ込み、市場の客2人が死亡、19人が重軽傷を負った。この「富川伝統市場トラック暴走事故」の原因はトラックを運転していた男の運転ミスだったことが明らかになった。男はギアを「D(ドライブ)」に入れて降りたが、車が動き始めたため、ブレーキを踏もうとして慌ててアクセルを踏んでいたという。男は事故直後、「ブレーキが利かなかった」と言ったが、車のドライブレコーダーには別の状況が写っていた。

【動画】市場を猛スピードで暴走するトラック

 京畿南部警察庁などが14日に明らかにしたところによると、同市場で鮮魚店を営んでいる男(66)はワタリガニなどをトラックから降ろした後、車を出すためにバックした。ところが、その際に店の商品台にぶつかり、男はこれを確認するために車から降りた。男はギアを「P(パーキング)」ではなく「D」に入れて降りたため、車が前方に動き始めた。男は慌てて車を止めようと運転席に座ったが、ブレーキではなくアクセルペダルを踏んでしまった。

 こうした状況は男がトラックの運転席に取り付けた「ペダル用ドライブレコーダー」と市場の防犯カメラ映像に写っていた。ペダル用ドライブレコーダーとは、運転席のペダル側を撮影する装備だ。最近、車の暴走事故が相次いでいることから、これを取り付けるドライバーが増えている。ペダル用ドライブレコーダーの映像は、車の欠陥による急発進を主張できる根拠の資料となる。男も自らペダル用ドライブレコーダーを買って取り付けていたという。警察関係者は「ドライブレコーダーに音も録音されていたが、エンジン音のため男の声は聞こえなかった」と語った。

 警察はまた、男の鮮魚店の前で、車が急加速する時に残るタイヤ痕を確認したことも明らかにした。警察関係者は「急ブレーキを踏んだ時に道の表面に残る『スキッドマーク』とは違う形だった」と語った。警察によると、車の運転席でペダル操作を妨害するような飲料水ボトルなども発見されていないとのことだ。

 トラックは当時、1-2メートルくらいバックしたが、その後市場の細い道を132メートルにわたり暴走していたことが調査で分かった。トラックは市場の鉄柱に激突して止まった。事故時の映像には、トラックが急加速する様子が捉えられていたが、ブレーキランプはついていなかった。警察は「道にスキッドマークも残っていなかった」と話している。

 警察は同日、男に対する逮捕状を請求した。国立科学捜査研究院にトラックの「事故情報計測・記録装置(EDR)」鑑定も依頼した。EDRには事故直前の車の速度やペダル操作状況などが記録されている。男は警察でペダルを踏み間違えた事実を認めたという。

 今回の事故では、同市場に買い物に来ていた60代の女性と70代の女性が死亡したほか、買い物客や商店関係者など19人が負傷した。警察は、19人のうち9人は重傷、10人は軽傷を負ったと発表した。警察関係者は「死傷者のほとんどが買い物客であることが分かった。市場の道が幅3メートルほどと狭いため、被害が拡大した」と話す。死亡した60代女性の家族は「15年前に中国から韓国に渡ってきてまじめに暮らしてきたが、あまりにもひどすぎる」と悔しさをにじませた。

富川=イ・ヒョンジュン記者、富川=キム・ヒョンス記者

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