社会総合
「AIカンニングの温床」大学オンライン講義、6年間で5倍…ソウル市内8校調査【独自】
2020年に始まった新型コロナウイルスの大流行を機に、ソウル市内の主要大学でオンライン講義の数が急増したことが分かった。このところソウル大、延世大、高麗大でAI(人工知能)を利用した不正行為が相次いで摘発される中、その主な原因が非対面でのオンライン講義にあるとの指摘が出ている。コロナの時期に「ニューノーマル」となった非対面での試験が、容易に不正を犯せる環境を生み出したというわけだ。
【比較】コロナ禍を経て急増した「オンライン講義」
ソウル市内の大学8校(ソウル大、延世大、高麗大、成均館大、漢陽大、中央大、慶熙大、ソウル市立大)が11月25日、保守系野党「国民の力」の金竜泰(キム・ヨンテ)議員室に提出した資料によると、オンライン講義の数はコロナ直前は計162講義(2019年2学期)だったが、25年2学期には854講義に増えた。6年で5倍以上に増加したのだ。19年2学期にはソウル大とソウル市立大にはオンライン講義が一つもなかったが、現在はそれぞれ113講義、20講義に増えた。中央大も同じ時期にオンライン講義が19講義から263講義へと14倍に増え、延世大と高麗大もそれぞれ10倍以上に増えた。ソウルのある大学の関係者は「コロナの時期は非対面で講義せざるを得なかったが、その時期を経験した学生たちから、出席の負担が軽いオンライン講義を実施してほしいとの要望が多く寄せられた」と明かした。
問題は、オンライン講義が徐々に大型化し、試験になると数百人の学生がオンラインで受験するため厳正に監督するのが難しいという点だ。ソウルの主要各大学では、受講生100人以上の「大型オンライン講義」がコロナ以前はほとんどなかったが、現在は20-30講義に増えた。以前は試験中に本を開いたり友人と相談したりといったカンニングが多かったが、最近では問題を入力すると即座に答えを出してくる生成AIを活用した不正行為が増えている。
各大学は不正行為を阻止するために、試験中は学生たちにノートPCのカメラ機能をオンにさせて試験中の様子を監督している。しかし、教授と数人の助教がモニター画面で監視しているだけでは、不正行為を完全に防ぐのは困難だ。
実際に10月15日に行われた延世大の非対面講義の中間試験では、50人以上の学生が不正行為を働いて摘発された。この講義は600人が受講する大型オンライン講義だ。教授は試験時間中のPC画面と、手と顔が映っている動画を提出するよう学生に求めた。ところが、教授が助教たちと共に提出された動画を分析したところ、PCの画面があまり映らないよう意図的に角度を調節して撮影したものや、画面ではなく別の場所を見ているケースが多数発覚した。試験中にインターネットやAIなどで答えを検索していると疑われるケースが多く見られたというわけだ。高麗大でも10月、1400人が受講する非対面の教養講義(の試験)で、一部学生がチャットアプリで問題と答えを共有しているのが発覚した。
大学の現場からは「オンライン講義を完全になくすのは不可能な状況」という話が聞こえてくる。受講希望者の多い専攻必須科目では、大勢の学生を受け入れるためにオンラインへの転換が進んだが、これを再び対面に戻した場合、試験を実施するためのスペースや監督する助教が大幅に不足するというわけだ。光州教育大教育学科の朴南基(パク・ナムギ)名誉教授は「AI時代に見合った評価方法を大学側が考えるべきなのに、その準備を怠っていた」として「試験だけは対面で実施できるよう、科目別に試験期間を別にするなどして大学側が試験スペースや監督人員確保に努めるべき」と指摘した。
高麗大は最近、教授全員に「対面での試験を原則とする」との方針を通知したことが分かった。高麗大の関係者は「期末試験を前に、教授全員に試験を対面で実施するよう通知を発送した」と説明した。やむを得ず非対面での試験を実施する場合には、学生が守るべきガイドラインを制定する。ソウル大と延世大も不正行為を防ぐための対策を整備していると明らかにした。
キム・ビョングォン記者