経済総合
先を争って海底資源の探査をすすめる中国と日本、ストップする韓国
韓国が東海で鳴り物入りで推進した「シロナガスクジラプロジェクト」の失敗とそれを巡る政治攻防で韓国の海底石油・ガス探査事業が揺れている。
与党からは「国民に対する詐欺劇」との言葉が漏れる。産業通商部は「探査は継続する」としながらも石油メジャー英BPが参加する第2次探査の承認を先送りしている。プロジェクトを巡る韓国石油公社の不透明な事業推進ぶりを検証するとして、結局事業は「全面ストップ」となった。
【比較】韓中日による海底探査の特徴
韓国が足踏みする間、中国と日本は政府が死活を懸けて海底資源の探査・開発に乗り出している。中国は天然ガス消費量の70%を自力で生産する水準に達しており、日本も石油・ガスの輸入量のうち自国の技術と資本で直接確保した量の割合(自主開発率)を40%まで引き上げた。
専門家は「資源開発は政権一期限りではなく、国家の未来戦略の問題だ」とし、「シロナガスクジラ事業の手続き的問題点は究明すべきだが、資源開発自体の萎縮につながってはならない」と指摘する。
■中国、先を争って海洋開発に投資
海底資源開発に向けた中国の意気込みは恐るべきほどだ。2000年代初め、海外での原油・ガス生産量がほぼゼロだった中国は、20年以上にわたり年間数十兆ウォンを探査とボーリングに投資した結果、産油国の仲間入りを果たした。中国の累積ボーリング回数は約5万回に達する。主な国営石油企業である中国石油天然気集団(CNPC)、中国石油化工(シノペック)、中国海洋石油集団(CNOOC)の3社は2024年現在で石油総消費量の43.5%を直接生産している。天然ガスは消費量全体の70%を自給できる水準だ。
中国は資源確保のためなら、国家間の紛争のリスクを冒すことも辞さない。韓国の西海(黄海)の暫定措置水域(PMZ)で密かにボーリングを行ったのが代表的だ。PMZは韓中が海上境界を確定できなかった水域で、一方的な資源開発と漁労が禁止されている。しかし、中国は2009年と2015年にボーリングを行い、韓国政府は今年6月になってそれにようやく気づいた。
日本の動きも脅威だ。2010年に23.1%だった日本の石油・ガス自主開発率は2020年に40%まで上昇した。日本政府は2030年までにこれを50%に引き上げることを掲げ、企業に国内外での資源開発を促している。日本のエネルギー企業、石油資源開発(JAPEX)は最近、「2030年までに石油・ガス探査と生産を優先投資分野にする」とし、最大の資源開発会社であるINPEXはインドネシアの東ジャワ海域で探査権を獲得した。一方、韓国の自主開発率はわずか10.7%にとどまっている。
■「BPも可能性を見据えて韓国事業に参加」
シロナガスクジラプロジェクトは、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に任命された金東燮(キム・ドンソプ)元韓国石油公社社長の主導で始まった広開土プロジェクトの一部だ。広開土プロジェクトは2031年までに東海に24個のボーリング孔を掘削し、ソウルの28倍(1万7000平方キロメートル)に達する海域を探査する事業だ。これを通じ、従来の東海ガス田より4倍も大きい新規ガス田を発見し、ガスを抽出した空間に工場から排出された二酸化炭素を貯留するという環境にやさしいエネルギー安全保障のビジョンだ。
シロナガスクジラプロジェクトのボーリング失敗は石油・ガスの埋蔵確率が非常に高い7地点の一つにすぎない。韓国石油公社が第2次探査のために行った国際入札にはBPが参加し、優先交渉対象者に選ばれた。世界的な石油メジャーが関心を持つのに十分な事業であることを示している。
しかし、産業通商部は韓国石油公社に対する監査を理由に、入札結果に対する承認を棚上げした。シロナガスクジラプロジェクトに対する与党の否定的なムードを意識した苦肉の策と読み取れる。昨年末、共に民主党はプロジェクト初の試掘関連予算を全額削減し、与党になった現在はさらに推進に否定的となっている。「探査は継続する」という産業通商部の立場にもかかわらず、政府が探査・試掘を攻撃的に推進するには環境的に限界があると懸念されている。
韓国鉱物資源公社で開発支援本部長を歴任した仁荷大の姜天求(カン・チョング)招聘教授は「資源開発は可能性が10%でも試みるものだが、確実なのはボーリングをやめた瞬間、成功確率が『ゼロ』になることだ」と話した。姜教授は「前政権が行ったことだからといって、資源開発の試み自体を積弊として追及すべきではない」と指摘した。
チョン・ジュンボム記者、チェ・ウンギョン記者