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国民の力・秋慶鎬議員の勾留状棄却、韓国政府・与党の内乱レッテル貼りに待った 非常戒厳1年
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱・外患容疑を捜査している趙垠奭(チョ・ウンソク)特別検察官(特検)が、内乱加担の疑いで保守系野党「国民の力」の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)元院内代表に対する勾留状を請求した件。裁判所は3日、この勾留状請求を棄却した。審査が終了してから5時間後のことだった。法曹界および野党側からは「(進歩〈革新〉系与党の)共に民主党の推薦を受けて李在明(イ・ジェミョン)大統領が任命した趙特検が、国民の力に対して『内乱政党』というレッテルを貼るため、無理に勾留状を請求した」と指摘する声が上がった。
【表】秋慶鎬「戒厳解除票決妨害」疑惑の争点
ソウル中央地裁の李訂宰(イ・ジョンジェ)令状専担部長判事は3日未明の午前4時50分に令状を棄却し「本件容疑および法理について争いの余地があり、綿密かつ充実した法廷攻防を経た後にしかるべき判断および処罰を行うようにするのが妥当」という事由を明かした。このために秋議員が勾留されていない状態で弁護人の助力を受けて防御権を行使できるようにする必要がある、というわけだ。また李部長判事は「捜査進行経過や出席状況、関連証拠の収集程度を見ると、秋議員に証拠隠滅および逃亡の恐れがあるとは見なし難い」「秋議員を勾留すべき事由と相当性を認め難い」とした。
秋議員は、勾留状が棄却されてからおよそ30分後の午前5時20分ごろ、ソウル拘置所の正門前に姿を現した。夜通し秋議員を待っていた支持者およそ30人は、秋議員がソウル拘置所正門に向かって歩いてくるや、名前を連呼して歓迎した。明るいほほ笑みを浮かべつつ支持者、同僚議員たちと握手をした後、取材陣の前に立った秋議員は「何よりもきょう、公正な判断をしてくださった裁判所に感謝を申し上げる」「政権においては政治弾圧、野党弾圧を中止し、民生を守って未来を育む仕事に集中してもらえればありがたい」と述べた。
国民の力では、張東赫(チャン・ドンヒョク)代表を筆頭に議員およそ10人が秋議員の釈放を待った。張代表は、秋議員が帰宅した後、「国民が独裁に勝った」「韓国の法治が生きていることを確認した」と語った。宋彦錫(ソン・オンソク)院内代表も「事必帰正(物事は必ず正しきに帰する)」「韓国司法府の良心が生きているという点を感じる」と述べた。
秋議員に対する勾留状の実質審査は、前日(2日)午後3時から午後11時53分まで行われた。特検側からは朴億洙(パク・オクス)特検補と崔在洵(チェ・ジェスン)部長検事など7人が令状審査に出席し、741ページ分の意見書と304ページ分のプレゼン資料を基に秋議員勾留の必要性を主張した。秋議員側も120ページ分のプレゼン資料を準備し、戒厳解除を妨害しようとする故意はなく、非常戒厳宣布当日には違法性についての認識がなかった―という趣旨で対抗したという。
特検側は、昨年12月3日の戒厳当日、当時国民の力の院内代表を務めていた秋議員が、午後11時22分ごろに尹錫悦大統領との電話で戒厳への協力要請を受け、国民の力の議員たちが戒厳解除要求案の票決に参加するのを妨害する目的で議員総会の場所を3回変更した、と主張した。また、秋議員など国民の力の関係者たちが特検の捜査に協力しないことを「証拠隠滅の恐れ」の事由として主張したという。しかし裁判所は、犯罪容疑疎明の程度や証拠隠滅の恐れが十分ではないと判断したのだ。
秋議員に対する勾留状が棄却されたことで、内乱特検の捜査の核心である「戒厳解除票決妨害疑惑」の捜査は、意味ある結果を得ることなく終わる可能性が高まった。部長判事出身のある弁護士は「特検が、野党を違憲政党に仕立てようという政務的判断にきゅうきゅうとして、ろくな証拠もなく無理に令状を請求したようだ」と語った。
キム・ウンギョン記者、イ・ミンジュン記者