▲世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から金品を受け取った疑惑が持たれている田載秀(チョン・ジェス)海洋水産長官が11日午前、「国連海洋総会」誘致活動を終えた後、仁川国際空港第2旅客ターミナルに到着・帰国し、見解を述べた。写真は空港を出る田載秀長官。写真=共同取材、ニュース1キム・ソンジン記者

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から金品を受け取った疑惑が持たれている田載秀(チョン・ジェス)海洋水産長官が辞任した。李在明(イ・ジェミョン)政権発足以降で長官が辞任したのは初めてのことだ。与党・共に民主党所属で3期目の国会議員でもある同長官は、来年の地方選挙で同党の有力な釜山市長選候補者として名前が挙がっていた。共に民主党など他の元議員2人も違法な政治資金を受け取った疑惑が持たれている。鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一長官やイ・ジョンソク国家情報院長ら主な長官たちと、李大統領の最側近であるチョン・ジンサン元共に民主党代表室政務調整室長も、旧統一教会と接触していたと報道されている。

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 旧統一教会の政治資金違法支援事件を捜査している閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)は既に今年8月に関連の供述を取っていたという。それにもかかわらず、野党・国民の力に関する部分だけを捜査し、共に民主党の部分は覆い隠していた。共に民主党に関する部分が明らかになると、李大統領は突然、「旧統一教会解散」を指示した。旧統一教会側はこれに萎縮したのか、関連裁判で口をつぐみ、沈黙し始めた。

 しかし、今やこの事件は覆い隠せる段階を超えた。李大統領も「『与党か野党か』や地位の上下に関係なく厳正に捜査せよ」と指示した。問題は誰がどのように捜査するかだ。警察がこの事件を適切に捜査すると思っている人はほとんどいないだろう。警察は野党関連事件についてはささいなことでも警察庁に上げ、与党関連事件については重大な件でも所轄の警察署に任せているのが現状だ。「中立」をあからさまに放棄しているのだ。

 警察庁国家捜査本部は、所轄警察の捜査機能を単純に統合した組織であり、政党の政治スキャンダルを捜査する力そのものはない。昨年12月3日の非常戒厳宣布が原因で警察庁長が拘束され、警察は庁長代行体制が1年間続いている。警察全体が正常な状態ではない。このような警察が現政権を捜査できるだろうか。権力の顔色ばかりをうかがい、事件をうやむやに終わらせるしかない。メディアに知られるまで事件をもみ消してきた閔中基特検が警察に事件を任せたのも、警察がまともに捜査できないことを知っているからだろう。

 国が正常ならば、検察や高位公職者犯罪捜査処(公捜処)がこの事件を捜査すべきだ。しかし、何度も明らかになっているように、公捜処も警察と大差ない。検察庁は来年廃止される予定だが、検察は依然として腐敗犯罪や経済犯罪といった重要犯罪を捜査する権限と組織を持っている。だが、政権交代や「京畿道城南市大庄洞の都市開発事業不正」を巡る裁判の控訴放棄などの波紋により、検察首脳部が現政権に近い人物に交代したため、検察も公正な捜査を期待し難いのが現実だ。政権から自由かつ中立の立場で権力スキャンダルと閔中基特検の違法捜査形態を同時に捜査できる独立した機構が必要だ。まさにこのような時にこそ使えるように作ったのが特別検察官制度だろう。

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