【ソウル聯合ニュース】韓国警察が15日、政治家らが世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から金品を受け取ったとされる疑惑に絡み、ソウル近郊の京畿道・加平にある教団本部や疑惑が取り沙汰されている政治家の自宅など10カ所の家宅捜索を実施したが、疑惑の物的証拠とされる高級時計は確保できていない状況であることが分かった。警察は、家宅捜索で確保した会計帳簿や携帯電話、資料などを基に、金品がやり取りされたと疑われる状況を確認していく方針だ。

 警察庁の特別専担捜査チームは、教団から金品を受け取った疑いが持たれている田載秀(チョン・ジェス)前海洋水産部長官の自宅と国会議員会館の事務室を捜索したが、旧統一教会側から受け取ったとされる高級時計は見つからなかったという。

 警察は12日に田氏、与党「共に民主党」の林鍾聲(イム・ジョンソン)前国会議員、「未来統合党」(現・最大野党「国民の力」)の金奎煥(キム・ギュファン)元国会議員の3人を政治資金法違反または収賄の容疑で立件したが、いずれも容疑を否認している。

 田氏は2018年ごろに教団側から現金2000万ウォン(現在のレートで約210万円)と1000万ウォン相当の高級時計、任氏と金氏は総選挙が実施された20年4月ごろにそれぞれ約3000万ウォンの金品を受け取った容疑が令状に記載されている。

 任氏と金氏の自宅などの家宅捜索も行われた。

 警察は確保した3人の携帯電話やパソコンのファイルなどのデジタルフォレンジック(電子鑑識)を行う方針だ。近く3人を出頭させ、分析結果に基づいて取り調べを行うとみられる。

 旧統一教会総裁の韓鶴子(ハン・ハクチャ)被告と元幹部のユン・ヨンホ被告が収容されているソウル拘置所や教団の本部とソウル本部の家宅捜索も行い、18年ごろの報告書と会計資料を確保した。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)被告を巡る不正疑惑を捜査する閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官のチームは今年7月に教団本部で21年の資料を重点的に押収したが、警察は3人に金品が渡されたと推定される18年以降の資料などを確保した。ユン被告が田氏らに金品を渡したと供述した時期は18年から20年ごろだ。

 特別検察官チームが韓被告の金庫で発見したにもかかわらずこれといった措置を取らなかったとされる約280億ウォン相当の現金に関連する資料がどの程度確保されたかが捜査の鍵となる。

 資料の量が膨大で、保存義務期間が過ぎたものも多く、資料の確保は容易ではないとされる。特別検察官チームがすでに確保した押収物の目録と比較する作業も並行して行われているという。

 また警察は、国民の力だけでなく共に民主党の議員にも金品を渡したとの証言があったにもかかわらず調査を行わなかったとして、職務放棄容疑で告発された閔氏と捜査チームに対する強制捜査も行った。ソウル・鍾路の事務所に捜査官を派遣し、ユン被告の供述などに関する捜査資料を確保したという。

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