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内乱特検「尹錫悦前大統領は権力維持のために非常戒厳」「金建希共犯説は事実でない」 最終捜査結果報告
【週刊朝鮮】尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が2023年10月より前から非常戒厳宣布を準備し、その目的は武力を動員して政治的反対勢力を除去して権力を独占・維持するためのものだった、という特別検察官(特検)チームの捜査結果が出た。戒厳宣布の過程では反対意見を出した国防部(省に相当)の長官を交代させ、韓国軍を政治に動員する一方、不正選挙でっち上げを通して国会の機能を停止させようとした状況も確認された。
12・3非常戒厳関連の疑惑を捜査してきた趙垠奭(チョ・ウンソク)内乱特検チームは15日、最終捜査結果を発表し、尹・前大統領が就任間もない段階から「非常大権」を念頭に置いて軍指揮部と密着しつつ戒厳を準備してきた、と結論を下した。また特検チームは、戒厳の直接的な引き金として金建希(キム・ゴンヒ)夫人の司法リスクが一定部分作用した可能性についても排除しなかった。
特検チームによると、尹・前大統領は在任中、政治的反対者を「反国家勢力」と決め付けて敵意をあらわにしていた。2024年7月のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議出席後、ハワイを訪問した際には、当時の金竜顕(キム・ヨンヒョン)大統領警護処長と共に同行した姜鎬弼(カン・ホピル)合同参謀本部(合参)次長に「韓東勲(ハン・ドンフン)はアカだ。軍が参加すべきではないか」と非常戒厳の必要性に言及したという。
この発言が当時の申源湜(シン・ウォンシク)国防部長官と金明秀(キム・ミョンス)合参議長に報告されると、申長官は戒厳に強く反対する意思を表明した。その後、尹大統領は国防部長官を申源湜から金竜顕に電撃交代させた。特検は、これを戒厳の推進プロセスから反対勢力を排除した措置だと判断した。
特検はまた、尹・前大統領が2024年10月1日の軍司令官たちとの夕食の席で「韓東勲を捕まえてこい。銃で撃ち殺したい」という趣旨の発言を行い、自分に不利な判決を下した裁判官を逮捕しようとした状況も確認された、と発表した。特検は、このような行為は国家安全保障の次元ではなく、個人的反対者を除去しようとする意図から出たものだと見なした。
一方で特検チームは、金建希夫人の非常戒厳介入疑惑については「事実ではない」と結論付けた。金夫人の補佐官と当時接触していた医療陣などを取り調べた結果、戒厳準備や実行の過程に金夫人が関与したという証拠は確認されなかった―という説明だ。
ただし特検は、戒厳が宣布された直後、金夫人が尹・前大統領に向けて「あなたのせいで全部台無しになった」と強い怒りを示したという複数の供述を確保した。朴志英(パク・チヨン)特検補は「金夫人が戒厳宣布に憤ったというのは、本人が構想していたさまざまな状況が戒厳によって全て崩れたという趣旨」「金夫人と戒厳を謀議した状況はない」と明かした。
特検は、非常戒厳の動機について「権力の独占と維持」だと規定した。政治ブローカーのミョン・テギュン氏関連のリスクや金夫人のブランドバッグ授受疑惑捜査などは戒厳宣布の直接的動機ではなかったものの、時期を決定する過程で一定部分の影響を及ぼした可能性はあると判断した。
さらに特検は、尹・前大統領が戒厳の名分をつくるために北朝鮮の武力対応を誘い出す軍事的緊張の造成を試み、不正選挙でっち上げを通して国会の機能停止を企てた状況も確認した、と発表した。実際に軍は、平壌付近に無人機を投入し、戒厳宣布後には中央選挙管理委員会のサーバールームを占拠したが、戒厳が早期に解除されたことで逮捕・拘束計画は実行されなかった。
ソ・ハナ記者