市況・統計
ウォン相場8カ月ぶりの安値、通貨スワップでも歯止めかからず
ウォンの対ドル相場が17日、ドル高などの影響で取引時間中としては8カ月ぶりに1ドル=1480ウォンを割り込んで下落した。最近外国為替当局の相次ぐ為替防衛の努力にもかかわらず、ウォン相場下落の勢いがなかなか衰えない。ウォン相場は1500ウォンを視野に入れる展開となり、韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「危機」だと言及した。
【グラフ】韓日の為替相場・株価・金利動向が酷似
ソウル外国為替相場では同日、ウォン・ドル相場が前日に比べ2.8ウォンのウォン安となる1479.80ウォンで取引を終えた。
取引は前日比2.5ウォンのウォン高水準となる1474.50ウォンで始まった後に下落に転じ、一時1482.30ウォンまで下落した。取引時間内(1487.60ウォン)、終値(1484.10ウォン)でいずれも4月9日以来の安値を記録した。17日はドル高の流れが強まったほか、外国人による韓国株売りも影響を及ぼしたと分析されている。
17日には外国為替当局と国民年金の間で通貨スワップが稼働したが、ウォン相場下落の勢いは止まらなかった。両者による通貨スワップは国民年金が海外投資に必要なドル資金を韓銀の外貨準備から調達する取引だ。満期時に一括して資金を返済するため、外貨準備高に影響を与えず、ウォン安を抑制することができる。両者は15日、年間650億ドルを上限とする契約を来年末まで1年間延長した。過去にはスワップの発表後にウォン相場が上昇したこともある。
今回は当局による通貨スワップも効果がなく、市場では近いうちにウォン相場が1500ウォンを割り込むとの見方も出ている。ウリィ銀行のアナリスト、パク・ヒョンジュン氏は「為替当局の対応でウォン相場が20~30ウォン程度上昇する余地はあるだろうが、低成長、潜在成長率の低下、韓国の資産の魅力低下などの要因が変わらない限り、為替相場の方向性が変わることは難しいだろう」と指摘した。
■為替当局が総力挙げてもウォン安止まらず
李総裁は最近のウォン相場を懸念した。17日の物価安定目標運営状況点検に関する記者説明で「伝統的な金融危機ではない」としながらも、「物価影響と成長の二極化などを考慮すると、安心できる水準ではないと思う」と発言した。李総裁はまた、「半導体・造船など輸出業者とは異なり、内需セクターと建設業、自営業者は困難を経験することになるため、社会的な調和が難しい環境になり得る」とも述べた。
李総裁はただ、「外国為替当局の需給対策が機能すれば、外貨需給の面で改善が見られるだろう。国民年金は過去とは異なり、マクロ経済への影響を考慮して政策を見直す」と説明した。国民年金が15日、戦略的為替ヘッジを市場状況に応じて柔軟に行う方向性に言及した格好だ。
韓国政府は国民年金と主要輸出企業に為替運用戦略の見直しを要請し、総力を挙げて対応している。企画財政部は16日、李炯日(イ・ヒョンイル)第1次官が外国為替市場関連輸出企業懇談会を開き、サムスン電子とSKハイニックスなどの輸出企業に為替市場安定のための積極的な協力を要請した。
キム・ジファン記者