社説
共に民主党は見逃して国民の力だけ起訴した特別検察官を捜査もせずに移管した警察【12月18日付社説】 旧統一教会政治献金疑惑
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の政治資金違法後援事件を捜査している閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)の偏向捜査疑惑事件を、警察が高位公職者犯罪捜査処(公捜処)へ移管したという。先に保守系野党「国民の力」は、進歩(革新)系与党「共に民主党」所属の政治家たちが旧統一教会から金品を受け取ったという供述を得ながらも国民の力の政治家だけを捜査したとして、閔特検と捜査チームを職務遺棄の容疑で警察に告発した。ところが捜査権を持つ警察が、捜査に着手もせずに別の機関へ事件を押し付けたのだ。
特検が旧統一教会の尹鍈鎬(ユン・ヨンホ)元世界宣教本部長から「民主党の元職・現職議員2人に数千万ウォン(1000万ウォン=現在のレートで約105万円)渡した」という供述を得たのが今年8月のこと。内容は具体的だったという。ところが特検は、国民の力関連の後援疑惑だけを捜査・起訴し、民主党関連の部分は隠している―とメディアで報じられるや、今月9日に事件を警察へ移管した。特検の捜査範囲ではないという理由を付けたという。捜査範囲でないのなら4カ月前に移管すべきだった。その間、公訴時効だけが経過した。職務遺棄かつ、政治的中立を定めた特検法違反に当たる。
警察は、数回にわたる検察・警察間の捜査権調整で最も多くの権限を持つ捜査機関になった。ところが、違法の容疑がこれほど明白な事件すら、手も付けずに急いで公捜処に渡した。「告発された特検捜査チームに公捜処の捜査対象である検事が含まれている」という理由を付けた。捜査の意志そのものがないのだ。事件の移管を受けた公捜処もまた。自分たちの捜査範囲ではないという理由で事件を再び警察に戻す可能性があるという。警察と公捜処で「ババ抜き」をやることになりかねない、という意味だ。
警察のこんな態度を見ると、民主党の旧統一教会金品授受疑惑事件もきちんと捜査するとは信じ難い。警察は、検察よりも権力は弱い組織だ。政権与党の事件を最後まで捜査した経験もない。捜査の意志そのものがあり得ない。世論に押されて「やってるふり」をするだけだ。
警察はこんなありさまだろうと予想はできたので、閔中基特検の偏向捜査は公捜処か他の特検で捜査するのが正しい。だとしても、警察が捜査に着手もせず事件をよそに押し付けたのでは、警察が犯罪を見て驚いて逃げてしまったのと変わらない。