▲世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の政界ロビー疑惑に関して、警察が家宅捜索に着手した15日午前、ひっそりと静まり返った旧統一教会「天正宮」(京畿道加平郡)の入り口の様子。写真=聯合ニュース

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の政界ロビー疑惑に関して、世界宣教本部長だった尹鍈鎬(ユン・ヨンホ)被告が「(韓国与党)共に民主党の田載秀(チョン・ジェス)議員=前海洋水産長官=らが2018年から20年にかけて『天正宮』(京畿道加平郡)に来て、金品を受け取ったと聞いている」と今年8月に閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)捜査チームに供述していたことが16日に確認された。田載秀議員らが旧統一教会の聖殿である天正宮を訪れていたとすれば、韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が直接、元国会議員や現職の国会議員らに金品を渡した蓋然(がいぜん)性を裏付ける供述となる。

【表】「30対0」 国民の力だけ捜査する特別検察官

 しかし、閔中基特検チームは、野党・国民の力に対する旧統一教会のロビー活動疑惑の捜査に集中し、田載秀議員らに対しては本格的な捜査をしなかった。特検から事件を引き継いだ警察庁の国家捜査本部は、韓鶴子総裁らを対象に関連疑惑を確認する方針だ。

 尹鍈鎬被告は今年8月、特検捜査チームに「田載秀議員と林鍾声(イム・ジョンソン)元共に民主党議員、金奎煥(キム・ギュファン)元未来統合党(現・国民の力)議員=現・大韓石炭公社社長=が天正宮に来たのを見た気がする」「彼らは現金や時計などを授受したと伝え聞いた」と供述した。これは、尹鍈鎬被告が2022年の第20代大統領選挙前、旧統一教会が組織的に国民の力を支援したとの疑惑に関する捜査で「どちらか一方だけに近づくことはできない。(18年から20年まで)与党だった共に民主党も支援した」という趣旨の話をした時に語ったものだという。

 尹鍈鎬被告は当時、「旧統一教会ナンバー2」と呼ばれており、配偶者は旧統一教会財政局長だった。二人の旧統一教会内における地位や役割から見て、尹鍈鎬被告の供述はある程度事実である可能性が高い、というのが法曹関係者の考えだ。

 特検捜査チームは、尹鍈鎬被告の供述を捜査報告書の形で残した。しかし、韓鶴子総裁や鄭元周(チョン・ウォンジュ)元総裁秘書室長らに対し、尹鍈鎬被告の供述に関する取り調べはしなかった。特検の関係者は「旧統一教会との金品授受疑惑が持たれている呪術師チョン・ソンベ被告や国民の力の重鎮議員・権性東(クォン・ソンドン)被告などに対する捜査に集中すべき時期だった」と説明した。

 「共に民主党関連ロビー活動に関する尹鍈鎬被告の供述を隠したのではないか」との批判が巻き起こるや、特検は「特検法上の捜査対象ではなかった」と述べ、今月9日になって事件を国家捜査本部に引き渡した。

 裁判所が発行した田載秀議員の家宅捜索令状には「現金2000万ウォン(約210万円)と(高級ブランド)ブルガリの時計1点を授受」した疑惑が摘示されていたことが確認された。 林鍾声・元議員と金奎煥・元議員はそれぞれ3000万ウォン(約310万円)を授受した疑惑が持たれている。国家捜査本部は17日にソウル拘置所で韓鶴子総裁を取り調べる予定だ。

ユ・ヒゴン記者、イ・ギウ記者

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