▲尹錫悦・前大統領/写真=ニュース1

 今年1月に高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による逮捕の試みを妨害した容疑で裁判にかけられている尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領側が、来月16日に判決を下すことにした裁判部の決定に対し「内乱首謀者容疑事件の裁判の結果を確認した後に宣告が行われるべき」と反発した。尹・前大統領自身も「いきなり終結させるのは不意打ち」だとして加勢した。しかし裁判部はこれを受け入れなかった。

 尹・前大統領側は19日、ソウル中央地裁刑事35部(裁判長:白大鉉〈ペク・テヒョン〉部長判事)で開かれた特殊公務執行妨害等容疑事件の裁判でこのように主張した。この日の裁判では崔相穆(チェ・サンモク)前経済副首相と李祥敏(イ・サンミン)前行政安全相の証人尋問が予定されていたが、李・前行安相の内乱重要任務従事容疑の裁判と日程が重なるなど、二人とも出廷できず、結審と宣告の日程についての議論が行われた。

 具体的に尹・前大統領側は、裁判部が先に来年1月16日に追加の証人採択をするかどうか決定するとしていた点を挙げ「内乱首謀者容疑事件に対する判決が言い渡された後に、この事件の言い渡しが行われるべき」と主張した。この事件が審理中の容疑に含まれている「外信対象虚偽広報」のケースでは、非常戒厳宣布と実行が違法だということを前提にしているので、非常戒厳が内乱に該当するかどうかについての判断が先に出なければならない―という主張だ。尹・前大統領は直接発言の機会を得て「戒厳宣布の性格など全体的な流れを判断して初めて、ここについての法理判断も正確にできるのではないか」と主張した。

 刑事35部は、今月26日に最終弁論を聞く結審公判を行った後、来年1月16日に一審判決を下すこととしたが、この日程がそのまま維持された場合、内乱首謀者事件よりも先に判決を言い渡すことになるという見方が有力だ。

 特別検察官(特検)側が「事案が重大であるだけに、迅速な裁判が必要」だとして対抗すると、尹・前大統領側は「事案が重大だからこそ慎重な裁判が必要」と反論した。この事件の裁判が急速に進んだのは、容疑事実について弁護人団が大多数の証拠に同意することで協力したからに過ぎず、被告人の防御権は十分に保障されなければならない、というわけだ。

 尹・前大統領自身も「6カ月以内の宣告は、予定にないのにいきなり行われる決定なので、弁護人の立場からは不意打ちに見えることもあり得る」としつつ「130人(証人申請)すると言っていていきなり撤回して『ここで終わります』というのは明白な不意打ち」と述べた。

 攻防が続くと、裁判部は「裁判進行過程で特検側と被告側の双方が協力してくれたので迅速が裁判が行われた」としつつ「(特検法に定められた)6カ月以内にできるだけ裁判を終わらせるように努めるのが正しいという裁判部の判断があった」と伝えた。その上で「被告側で、証人申請の機会を十分に保障されなかったと考えていることも理解している」と補足した。

 ただし、裁判部は「この法廷で審理中の容疑事実は内乱首謀者容疑事件とは明らかに異なる」として「今月26日に弁論を終結させたい」「そのときまでに追加証拠を提出するのであれば調べを進めて、弁論終結後に提出される証拠については、必要に応じて公判を再開する」と決めた。

イ・ミンジュン記者

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