裁判
内乱裁判への影響は? 被告人・尹錫悦に懲役5年の初判決
【TV朝鮮】(アンカー)
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対する初めての言い渡し、社会部法曹チームのチョ・ジョンリン記者と共に「ニュースもっと」で分析してみたいと思います。特別検察官(特検)は10年を求刑しましたが、一審裁判部は懲役5年を言い渡しました。どういう風に決定したのでしょうか。
【写真】裁判で発言する尹錫悦・前大統領と白大鉉・ソウル中央地裁部長判事
(記者)
はい。特検は容疑を大きく3つに分けて、それぞれ求刑を行いました。逮捕容疑の場合、量刑基準より重い懲役5年。国務委員(閣僚)の審議権侵害と、秘話フォン(盗聴防止機能付き携帯電話)の情報削除指示など職権乱用容疑については、合わせて懲役3年を求刑しました。事後戒厳宣布文関連の容疑には懲役2年を求刑、計10年でした。量刑基準上、刑の加重要素をほぼ最大限まで反映したのです。裁判部もまた、量刑基準上の勧告刑量の範囲は最少1年から最大で11年3カ月とみていました。ただし裁判部は、刑事処罰を受けたことがない初犯であり、一部の犯行は積極的に主導しなかったとして、中間線である懲役5年を宣告しました。
(アンカー)
12・3非常戒厳捜査の初期から問題になっていた「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の内乱罪捜査権」についての判断も出ましたね?
(記者)
はい。尹・前大統領は捜査の初期から、内乱罪の捜査権がない公捜処の捜査は違法だとしていました。これに基づき、公捜処の捜査資料も裁判では証拠能力がない、と主張してきました。
(尹錫悦/前大統領〈昨年11月28日〉)
「(公捜処に)内乱罪の捜査権が存在するかについては、精密に、別途問うてみるべきだと私は考えています」
実際、公捜処法上も、捜査対象に内乱罪は明示されていません。しかし公捜処は、高位公職者の職権乱用犯罪を捜査できる、認知捜査(犯罪または犯罪の端緒を捜査機関が直接認識して行う捜査)をできるという条項を根拠に挙げました。きょうの一審裁判所は、公捜処の主張を受け入れました。
(白大鉉〈ペク・テヒョン〉/ソウル中央地裁部長判事)
「被告人の職権乱用権利行使妨害容疑と内乱首謀者容疑は事実関係が同一であり、中間行為や他の要因の媒介なく直接連結し、職権乱用権利行使妨害容疑についての捜査の過程で自然と被告人の内乱首謀者容疑が明かされるのは当然という関連性が認められるので、公捜処は被告人の内乱首謀者容疑を関連犯罪として捜査できます」
尹・前大統領は内乱裁判でも公捜処の捜査権を問題にして、公訴棄却を主張しています。別の裁判ではありますが、きょうの判決が影響を及ぼすだろうという見方が出ています。
(アンカー)
戒厳宣布直前に開かれた国務会議(閣議)も、手続き的瑕疵(かし)があるとしましたね?
(記者)
はい。特検は、尹・前大統領が非常戒厳の要件に合わせようとして定足数だけを満たし、わずか2分の形式的な国務会議を開いたとみなしました。召集の通知を受けられなかったり出席できなかったりした国務委員(閣僚)の審議権を侵害したとして起訴しましたが、裁判部も同じ判断をしました。
(白大鉉/ソウル中央地裁部長判事)
「非常戒厳のような国家緊急権を行使する場合、国家の各分野において非常状況を招来しかねず、さまざまな分野で国民の基本権を侵害する余地があるので、国家緊急権行使の誤・乱用に伴う弊害を未然に防止するため、国政各分野の補佐および審議を担当する国務委員全てに国務会議の招集を通知する必要性はいっそう高いというべきです」
戒厳宣布の手続きが違法だとみたわけで、内乱裁判で「手続きを全て守った合法な戒厳だった」として無罪を主張している尹・前大統領側にとっては不利な判断だ、という分析が出ています。
(アンカー)
裁判部が無罪と判断した容疑は、どのようなものですか?
(記者)
外信報道官に「戒厳は正当だった」という虚偽事実を伝えさせた容疑について、無罪と判断しました。裁判部は、報道官の役割は大統領の立場を伝えることであって、事実かどうかは無関係だとし、犯罪が成立しないとみなしました。また特検は、虚偽で作成された「事後非常戒厳宣布文」を行使したという容疑も挙げましたが、引き出しの中に保管しただけで廃棄されたのだから罪になり得ない、と判断しました。
(アンカー)
チョ記者、よく分かりました。
チョ・ジョンリン記者
(2026年1月16日放送 TV朝鮮『ニュース9』より)