▲イラスト=UTOIMAGE

 ウクライナ戦争で、衛星通信サービス「スターリンク」の衛星インターネットを無許可で使っていたロシア軍が、イーロン・マスク氏による突然の遮断措置によって通信まひに陥っていることが分かった。

【写真】馬のくらに衛星通信用アンテナを設置する様子

 テレグラフが6日、報じた。それによると、親ロシア傾向の軍事ブロガーたちは最近、マスク氏が所有するスターリンクのサービスが中断されて以降、最前線に投入されているロシア軍部隊の約90%が通信不能になったと説明した。

 今回の措置は、ウクライナのミハイロ・フェドロフ国防長官とマスク氏の交渉を通じて実現した。最近、ロシア軍が長距離ドローンにスターリンクの端末を搭載して精密攻撃に活用していることが分かったため、フェドロフ長官とマスク氏が共同で対応に乗り出したのだ。スターリンクはウクライナ政府が承認した端末に限ってアクセスできる「ホワイトリスト」制度を導入し、時速75キロ以上で移動する装置についてはインターネットが自動で遮断されるよう設定した。ロシア軍が高速ドローンやミサイルにスターリンクの端末を搭載して活用する道を、元から封鎖したのだ。

 ロシア軍はこれまで、西側諸国の制裁を逃れるために、第三国を経由してスターリンクの端末を密輸し、占領地内でウクライナのインターネットを盗用して使用していた。先月にはロシア軍が騎馬部隊の馬の鞍上にスターリンクの端末を設置し、ドローンを運用してインターネット通信で現場の状況をリアルタイムで把握し、効率的に遠隔操縦できるようにしているという報道まで飛び出した。

 ウクライナ側とマスク氏の交渉に伴う措置によって、ロシアの前線は大きな混乱に陥っているようだ。あるロシアの軍事ブロガーは「ほぼ全ての前線で端末が遮断され、指揮・統制が不可能になった」「旧式のトランシーバーを寄付してほしい」と訴えた。

 専門家らは、今回の措置がウクライナにとってかなり有利になるとみている。米国外交政策研究所(FPRI)のロブ・リー先任研究員も「ロシア軍の地上無人ロボット運用と中距離ミサイル打撃能力が大きく低下するだろう」との見方を示した。フェドロウ長官も今月5日、X(旧ツイッター)で「新たなシステムが成果を挙げている」とマスク氏側に感謝を伝えた。

 しかし、今回の遮断措置によって、ウクライナ側の端末も同様にネットにつながらなくなる副作用が報告された。また、ロシアが自前の低軌道衛星通信網を開発中で、ウクライナのUSIM(ユーシム=携帯電話に差し込む、契約者情報を記録したICカード)を装着したセルラーモデムなどを経由するといった迂回方法を探っており、効果が続くかどうかは未知数との見方もある。

 それでもウクライナ側は、今回のスターリンク遮断が自国に有利な条件を提供しているとの反応だ。ウクライナの保安協力センターのセルヒ・クチャン会長は「ロシア軍は無線通信や光ケーブルなど代案を探すだろうが、スターリンクよりはるかに不安定で脆弱(ぇいじゃく)だ」として「今回の封鎖は、ロシアの戦場での活動やドローン作戦に直接的な打撃を与えるだろう」と指摘した。

パク・ソンミン記者

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