▲イラスト=UTOIMAGE

 童話の主人公のような存在だった欧州各国王室の王妃・王女が、ドレスの代わりに戦闘服を着て、小銃を手にしている。ロシアのウクライナ侵攻が間もなく5年目を迎え、米国との「大西洋同盟」が揺らいでいることに危機感を抱いた立憲君主国王室の女性たちが、率先して入隊し、安全保障意識の鼓吹に乗り出した―という評価が出ている。

【写真】戦闘服を着る欧州の王族女性たち

 オランダ王室は2月4日、ウィレム・アレクサンドル国王の配偶者であるマキシマ王妃(54)が陸軍に入隊し、拳銃の射撃、ロープワーク、行軍などの軍事訓練を受けている写真を公開した。王妃は「もはや安全保障を当然のものと感じることはできない」として入隊を決定した。予備役軍人の年齢上限が55歳のオランダにおいて、54歳の王妃の入隊は破格のものと受け止められた。王妃は、偽装用のドーランを塗って行軍し、一般兵士と全く同じ訓練をこなした。兵士の階級で訓練を履修した後、中佐の階級に任じられる予定だ。

 同じくオランダで、一般大学での学業と国防大学での2年課程の軍事訓練を並行させているカタリナ・アマリア王女(22)も、1月に基礎軍事教育を終えて上等兵になった。スペインのレオノール王女(20)は2023年から、陸・海・空軍の士官学校を回って生徒たちと同一の訓練を集中的に受けている。レオノール王女は既に陸軍少尉・海軍少尉に任官されており、飛行教育などを経て間もなく空軍少尉にも任官される予定だ。ベルギーのエリザベート王女も23年、王立軍事学校(KMS)で特殊作戦用の新型アサルトライフル(FN-SCAR)の射撃訓練を受ける様子が、現地メディアによって報じられた。

 スウェーデンのビクトリア王女(48)も、2003年に基礎軍事訓練を修了した後、陸・海・空軍の訓練を定期的に受けつつ、軍統帥権者の授業を受けている。スウェーデン王室が最近公開した動画と資料を見ると、ビクトリア王女は雪深い森で小銃を持ち、特殊作戦を遂行したり、戦闘機やヘリコプターに搭乗してミサイルの誘導装置を操作するなど、ベテラン軍人としての姿を見せている。

 ノルウェーのホーコン王太子(52)の長女でノルウェー王位の継承が確実視されているイングリッド・アレクサンドラ王女(22)もまた、2024年から昨年まで15カ月間にわたり、ロシアと国境を接している最前方の工兵大隊でCV90 STING装甲車の砲手として服務した。当初は12カ月勤務する予定だったが、王女の強い意向により期間が延長された。部隊では「姫殿下」ではなく「アレクサンドラ2等兵」と呼ばれ、マイナス20度の寒さの中、戦友たちと全く同じ野戦テントで寝食を共にした。

 王妃・王女たちの軍務に、各国の世論は好意的だ。オランダのRTLテレビは「マキシマ王妃の入隊は象徴的な価値が極めて高い」「中高年層も予備役軍人として寄与できるという強いメッセージを伝えるもの」だとした。オランダとスペインでは王女の入隊後、関連の問い合わせが急増し、「王女効果」という表現まで登場している。ノルウェーとスウェーデン、ベルギーなどでも関心が高まる傾向にあるという。

 国民を保護する君主が戦争を自ら遂行するという伝統が残っている欧州で、王室構成員の軍務は欠かせない。英国の故エリザベス2世も、王女時代に第2次大戦に参戦した。欧州各国の王位継承者の相当数が女性という状況で、安全保障環境まで危うくなり、各国王室が「戦時の女王」のイメージを掲げて君主制の存続を図っているという側面もある。

パリ=ウォン・ソンウ特派員

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