▲グラフィック=ヤン・インソン記者

 2021年から24年にかけて流通した新型コロナウイルスのワクチンに異物が混入しているのが発覚したにもかかわらず、何の対応も取られず、同じ製造番号のワクチンが1420万4718回接種されたことが韓国監査院の監査で分かった。製造番号が同じというのは、ワクチンが同一の環境で生産されたことを意味する。マニュアルによると、安全性が確認されるまで接種を中断しなければならなかったが、政府の調査は行われなかった。

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 韓国監査院が23日に公開した「新型コロナウイルス対応実態診断及び分析」と題する監査報告書によると、韓国疾病管理庁は2021年3月から24年10月にかけて、医療機関から「コロナのワクチンから異物が発見された」という報告を1285件受理していた。マニュアルによると、疾病管理庁は食品医薬品安全処(食薬処)に対し、問題の製造番号のワクチンに異常がないかどうか確認を要請することになっており、食薬処は成分分析の結果を疾病管理庁に報告しなければならない。疾病管理庁は調査結果に基づいて、接種中断などの措置を取ることになっている。

 しかし、監査院が監査したところ、疾病管理庁は異物が確認されたことをワクチンのメーカーに通知しただけで、食薬処には報告していなかった。疾病管理庁はワクチンのメーカーの内部調査結果を第三者の検証を経ずに受け入れ、この問題を終結させた。

 監査院は、異物が報告された1285件のうち127件はワクチンの製造過程で異物が混入した可能性が高いとみた。カビ、毛髪、二酸化ケイ素などが混入していたケースだ。この127件と同じ製造環境で生産され、実際に接種されたワクチンは計4291万4250回分で、同じ期間の全体接種量の29.6%に達する。監査院は「異物が混入していたワクチンと同じ製造番号の4291万4250回分のうち、1420万4718回は疾病管理庁に異物の報告が上がってきた後に接種が実施された」と明らかにした。

 監査院は、異物が発見された製造番号のワクチンを接種した人のうち、0.272-0.804%に異常な反応が見られたと説明した。別の製造番号のワクチン接種者に比べ、異常反応が出た割合が0.006-0.265ポイント高かったという。ただし、異常反応の割合の差がワクチンのせいなのか、その因果関係については明らかにされていない。

 当時、疾病管理庁長を務めていたのは、鄭銀敬(チョン・ウンギョン)現保健福祉部(省に相当)長官だ。監査院は、疾病管理庁がワクチンの異物混入報告をマニュアル通り処理しなかった理由が何だったのか、隠蔽(いんぺい)を指示した人物がいたのかどうかについては明らかにできなかった。これについて、疾病管理庁は「コロナはそれまでに経験したことのない大規模な感染症で、当時の情報処理と(部処間の)協力体制に不十分な部分があった」と説明した。その上で、異物の見つかったワクチンは接種に使われておらず、同一の製造番号のワクチンで問題が起きたケースもなかったと述べた。

 監査院は今回の監査で、2021-23年に有効期間切れで効果が保障されていないコロナワクチンを接種した人が2703人いたことも確認した。しかし、医療機関や保健所はこの事実を本人に伝えず、2703人のうち1504人(55.6%)は再接種をしていなかった。

 監査院は、新型コロナ大流行の時期に政府の各部処(省庁)が制定したマニュアルや法令が、部処同士で整合性が取れていなかったと指摘した。また、コロナ対応体制を強化する目的で保健福祉部の疾病管理本部を疾病管理庁に格上げした後も、混乱が起きていたと指摘した。2020年9月に疾病管理本部が疾病管理庁に格上げされた後、保健福祉部は海外ワクチンの導入業務について、疾病管理庁の所管だと考えて業務を中断したが、一方の疾病管理庁は保健福祉部の所管だと考えていた。その結果、ワクチンの導入が1カ月以上遅れた。

 監査院は、保健福祉部や疾病管理庁、食薬処、行政安全部に対し、31件の事項を改善するよう通知した。監査院はコロナ対応で多忙だったという点を勘案し、当時の担当職員らの責任を問うことはしなかった。

金耿必(キム・ギョンピル)記者、オ・ギョンムク記者

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