社説
「公訴取り消し取引疑惑」、発信した金於俊氏を除いて告発した共に民主党【3月14日付社説】
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領の事件の公訴取り消しと検察の補完捜査権を取引しているという疑惑。ユーチューバーの金於俊(キム・オジュン)氏の配信番組で提起されたこの疑惑を巡り、進歩(革新)系与党「共に民主党」が、番組内で疑惑を提起した出演者を拒否事実適示名誉毀損(きそん)の疑いで警察に告発した。ところが、肝心の金於俊氏本人に対しての告発はしないという。「司会者は出演者の発言に法的責任がない」というのだ。
【Photo】ネット放送で「李在明代表を捜査した検事を弾劾すべき」と発言する金於俊氏
金於俊氏は今月10日、ユーチューブの配信番組で出演者が公訴取り消し取引説を提起すると「大きな取材をした」と呼応した。配信番組で出てきた話が大きな政治的波紋を起こしたが、民主党は即座には対応しなかった。二日が経過してようやく、鄭清来(チョン・チョンレ)代表が「党で可能な全ての方法を動員し、(取引説に対して)強力に対応したい」とコメントした。強力に対応するとしつつ、金於俊氏本人は告発対象から外した。金於俊氏を告発したのは、被害を受けた民主党ではなく、市民団体だった。金於俊氏は「出演者が語った内容を事前に全く知らなかった」として、自分を告訴・告発したら虚偽告訴として対処する、と主張した。
民主党は、自分たちの気に入らない内容が報道機関やユーチューブの番組で出てくると、即座に法的対応を取ってきた。出演者が一言話しただけでチャンネルそのものを告発したケースも多かった。放送各局は、ニュースや時事番組で出演陣の話を検証無しに流せば放送メディア通信審議委員会から課徴金など懲戒処分を受ける。ユーチューブの金於俊氏のチャンネルも、報道機関として登録されている。しかし金於俊氏が法的・経済的処罰を受けるはずだと信じている人間はあまりいない。民主党が金於俊氏を「上王」(先代の国王)のように尊んでいるという事実を誰もが知っているからだ。
2024年の総選挙を前に、金於俊氏の番組に出演した民主党候補たちは、彼が「気を付け、礼」と叫ぶや、一斉に礼をした。李在明大統領も昨年6月の大統領選挙投票前日、金於俊氏の番組に出演した。過去6カ月の間に、民主党議員64人が金於俊氏の番組に259回も出演した。だから、金於俊氏の番組で「李大統領の事件の公訴取り消しと検察の補完捜査権を取引している」という疑惑が出たにもかかわらず、民主党はまさにその金於俊氏本人に対して何もできないのではないか。もし金於俊氏の番組ではなくよそでこんな内容が出ていたら、青瓦台(韓国大統領府)と民主党がどのような対応に出ただろうか―と考えると、陰謀論者のチャンネルが現政権で持っている力をあらためて確認させられる。