李在明(イ・ジェミョン)大統領が6月26日、防衛産業育成戦略会議において、人工知能(AI)用GPU購入のための第2次追加補正予算編成の必要性に言及した。「(GPUが)ますます大規模に必要になるのではないか」とし、「補正予算を組むことになるかどうかは分からないが、財源も追加で発生するようだ。補完すべきではないかと思う」と語った。半導体活況に伴う税収の増加分を、補正予算の財源として活用しようというのだ。李大統領は去る23日の国務会議(閣議)でも、「今、庶民に対する所得支援策を追加しようとしても、(今年の予算上では)財源がないではないか」と述べ、補正予算の必要性を持ち出していた。

【図】2026年度第1次補正予算案

 未来の産業インフラに対する投資や庶民支援が、重要な課題であることは間違いない。しかし、今は物価高とウォン安で民生が急速に悪化している状況だ。5月の消費者物価上昇率は3.1%で、26カ月ぶりの最高値を記録した。韓国銀行(中央銀行)の物価安定目標(2%)を3カ月連続で上回った。石油の価格はもちろん、食料品や日用品といった基礎生活物価が急騰し、庶民家計の苦痛はますます深刻になっている。このような局面で補正予算を編成して財政資金を放出したら、物価高・ウォン安をますます進める結果になりかねない。

 世界の主要国は政策金利を続々と引き上げ、中東での戦争に伴う物価高を抑制しようと総力戦を繰り広げている。米連邦準備制度(FRB)もトランプ大統領の期待とは異なり、利上げ基調へと転換した。韓銀もやはり、金利を上げてでも物価を引き下げなければならないという政策方向を明らかにしている。補正予算は、物価防衛のためのこうした緊縮基調に逆行するものだ。

 補正予算は、緊急事態において不可避の場合に編成する非常予算だ。国家財政法第89条は、「戦争、大規模な災害、景気後退、大量失業といった非常事態」が発生した場合にのみ、補正予算を編成できると限定している。GPUの購入や庶民への所得支援がこれに該当するとは見なしがたい。どうしても必要なら、来たる8月に発表される来年度の予算案に反映すれば済む話だ。

 現政権が発足してからの1年間で、補正予算はすでに2回編成された。昨年6月に約32兆ウォン(現在のレートで約3兆4000億円。以下同じ)規模の消費クーポン補正予算、そして今年3月には26兆ウォン(約2兆7000億円)規模の戦争補正予算があった。非常事態でもないのに補正予算を習慣のように動員する行為が繰り返されている。任期中に計10回もの補正予算を組み、「財政中毒」との批判を浴びた文在寅(ムン・ジェイン)政権の二の舞いでは困る。

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