▲イラスト=キム・ソンギュ
中国の人工知能(AI)「ディープシーク(Deepseek)」による個人情報流出問題を受け、私生活のセキュリティーに対する懸念が高まっている。デジタル技術の発展で日常生活は監視が可能な機械に取り囲まれているからだ。ロボット掃除機に設置されたカメラ、スピーカーについたマイク、スマートフォンでダウンロードしたアプリなどで自分の行動や声、位置など日常生活のあらゆる情報が追跡を受けている。これらデジタル機..
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▲イラスト=キム・ソンギュ
中国の人工知能(AI)「ディープシーク(Deepseek)」による個人情報流出問題を受け、私生活のセキュリティーに対する懸念が高まっている。デジタル技術の発展で日常生活は監視が可能な機械に取り囲まれているからだ。ロボット掃除機に設置されたカメラ、スピーカーについたマイク、スマートフォンでダウンロードしたアプリなどで自分の行動や声、位置など日常生活のあらゆる情報が追跡を受けている。これらデジタル機器市場はコスパを前面に出す中国製品に急速に奪われている。しかし中国製品は相対的にセキュリティーに弱く、収集された情報はサイバー攻撃やずさんなセキュリティー規定により外部に流出する可能性が高い。これらの情報を民主的に統制を受けない中国政府が悪用することへの懸念の声も相次いでいる。業界関係者は「中国政府はデータ保安法に基づき、必要であれば自国の企業が持つ情報をいくらでも利用できる」「韓国はもちろん、全世界で中国発の『監視フォビア(恐怖症)』が広がっている」とコメントした。
【グラフィック】日常生活に広がる中国の監視機器
▲グラフィック=キム・ソンギュ
■日常生活を監視するデジタル機器
中国製の電子機器に設置されたマイクやカメラは個人情報収集の道具になっている。その代表的な例がネットワークカメラだ。ネットワークカメラはインターネットを通じて遠隔操作と視聴が可能だ。安全対策以外にも最近は清掃区域識別のためロボット掃除機にも設置されている。韓国のロボット掃除機シェアは中国のロボロックが約40%で1位だ。またもう一つの中国の代表ブランド「エコバックス」にもネットワークカメラが設置されている。米国では中国のエコバックスが外部からハッキングされた事例が報告されている。韓国メーカーはロボット掃除機に国際的な認証を受けセキュリティー用のソフトも導入しているが、中国製にこのような対応は行われていない。家庭や商業施設でセキュリティーや安全対策、リアルタイムの現場確認目的で設置されているネットワークカメラは中国製が80%と圧倒的なシェアを持ち、ここから集められた私生活動画が中国のウェブサイトで公開されたケースもある。
インターネットにつながった家電製品なども標的になっている。世界のWi-Fi機器メーカー1位は中国のTP-Linkで、これらのルーターや中継器に侵入すればインターネットにつながった別のIT機器にも簡単に侵入できる。例えばWi-Fiにつながったパソコンはもちろん、冷蔵庫や洗濯機などもハッキングされる恐れがある。マイクロソフトは中国ハッカーたちがTP-LinkのWi-Fi機器を使って大規模サイバー攻撃を行った事実を突き止め昨年公表した。これを受け米国政府は米国国内でTP-Link製Wi-Fi機器の販売禁止を検討している。韓国でのシェアは集計されていないが、韓国でもネット通販などで簡単に購入できる。
社会の様々なインフラにも中国製品が入り込んでいる。2023年の時点で韓国の10カ所の港湾で使用されている809台のクレーンのうち427台(52.8%)が中国ZPMC社の大型クレーンだ。クレーンに搭載されたセンサーで物資の移動に関する情報を集めるZPMC製クレーンについて、米国政府は「トロイの木馬」として警戒している。
■情報流出経路となっているスマートフォン・アプリ
中国のスマホアプリも個人情報流出経路として注目されている。アプリに極秘に導入されたソフトウエアにより個人情報が流出する恐れがあるからだ。中国ではユーザーが把握していない不法アプリがいつしか導入され、これを使ったスマートフォン利用状況のデータ収集が流行している。これら不法アプリはネット検索中に表示される広告を閉じる時や別のサイトに移動する際、あるいは別のアプリを導入する際に本人も知らない間にスマートフォンに導入される。アプリの名称やアイコンも表示されず、スマートフォンのホーム画面では見ることができない。これら不法アプリは悪性コードを通じて写真や通信情報、位置情報といった個人情報を流出させ、収集された情報は別の事業者に転売されている。
これら不法アプリは中国アプリを導入する際に組み込まれる可能性が高い。昨年韓国で最も多く導入されたアプリのうち中国製は1位のTEMU、2位のTikTok Light、5位のAliExpressだ。高麗大学のイ・フィジョ教授は「中国製のハードウエアとソフトウエアを無条件阻止することはできないので、導入の際には徹底して検証し、管理できる制度を整えねばならない」と指摘する。
ユ・ジハン記者、パク・チミン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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