「指導者を侮辱しないこと。イデオロギーを批判しないこと。そして、むやみに判断しないこと」
これは、北朝鮮を訪れる西側諸国の観光客に対し、ツアーガイドが伝える最初のルールだという。北朝鮮が最近、欧州など一部の西側諸国からの団体観光客を受け入れていることが把握される中、実際に北朝鮮を旅行してきた観光客たちによる経験談が多数伝えられている。
【写真】舞踊を披露する北朝鮮の子どもたちの背景にミサイル爆発シ..
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「指導者を侮辱しないこと。イデオロギーを批判しないこと。そして、むやみに判断しないこと」
これは、北朝鮮を訪れる西側諸国の観光客に対し、ツアーガイドが伝える最初のルールだという。北朝鮮が最近、欧州など一部の西側諸国からの団体観光客を受け入れていることが把握される中、実際に北朝鮮を旅行してきた観光客たちによる経験談が多数伝えられている。
【写真】舞踊を披露する北朝鮮の子どもたちの背景にミサイル爆発シーン
英国BBC放送は1日(現地時間)「北朝鮮観光が再開されて以降、初めて北朝鮮に行ってきた英国人たち」として、先ごろ北朝鮮の羅先経済特区を訪れた観光客と旅行会社関係者のインタビューを報じた。
インタビューに応じた人の一人は、北朝鮮旅行のパッケージ商品を販売する西欧の旅行会社「ヤング・パイオニア・ツアー」を運営するロワン・ビアード氏だ。ビアード氏は数年にわたって説得と失敗を繰り返した末に、北朝鮮旅行の商品を販売できる権限を手にしたという。ビアード氏は「わずか5時間で観光客グループを集めることができた」「集まった観光客はほとんどがユーチューバーや旅行愛好家たちで、北朝鮮にとりわけ関心のある人々だった」と話した。国籍は英国、フランス、ドイツ、オーストラリアなどさまざまだという。
28歳の英国人ユーチューバー、マイク・オケネディさんもビアード氏の旅行会社を通じて今回北朝鮮を訪れた。オケネディさんは「北朝鮮は統制の厳しい国だということは知っていたが、実際に経験した統制のレベルは想像を超えていた」と話した。オケネディさんは「トイレに行くときでさえもガイドに報告しなければならなかった」「世界のどこにもこんな経験をした国はなかった」と言った。
ツアーリーダーの1人、ベン・ウェスタンさんは北朝鮮旅行について「まるで修学旅行をしているようだった」と表現した。その上で「ガイドがいなければホテルから出ることもできなかった」と話した。
ある日、オケネディさんが「北朝鮮・ロシア 友情の家」を観光し、訪問者ノートに「世界の平和を願います」と書いたところ、ガイドが近づいてきて「不適切な内容だ」と指摘したという。オケネディさんは「ガイドにそう言われて、パラノイア(妄想性パーソナリティー障害の一種)になってしまった」という。
オケネディさんによると、ツアーの一環で学校を訪れた時、北朝鮮当局は、8歳の子どもたちに弾道ミサイルの目標物への命中シーンを表現する舞踊を踊らせ、観光客に見せたという。オケネディさんが公開した公演の動画には、赤いネクタイを結んだ子どもたちが歌を歌い、背景のスクリーンではミサイルが爆発する場面が再生されている。オケネディさんはこの学校訪問で、とある少女が言った言葉を忘れることができないと話した。少女が「いつかは英国を訪問したいです」と言ったというのだ。オケネディさんはインタビューで「その子にとってその夢が実現する可能性は、とてつもなく低いという事実を、とうてい口にすることができなかった」と話した。
オケネディさんは、自ら目にした北朝鮮の住民たちの様子について「全員が仕事をしており、休んでいる人は誰もいないと感じた」「暗鬱(あんうつ)な光景だった」と説明した。
米国の北朝鮮専門メディア「NKニュース」の元記者で、3度目の北朝鮮旅行に行ってきたというジョー・スミスさんは、以前よりも状況が悪化している印象を受けたと振り返った。スミスさんは「ホテルの部屋を除けば暖房も効いていないし、明かりも薄暗かった」「寒くて暗い美術館は、私たちのためだけにオープンしてくれているようだった」と話した。スミスさんは、写真に写っているきれいな道も、実際によく見るとひどい状態だったとして「見える部分についてだけ敏感な北朝鮮が最善を尽くした場所でさえもその程度のレベルなら、外の実情はどんな具合なのか想像することすら恐ろしい」と話した。
スミスさんは、北朝鮮の観光ガイドたちが北朝鮮の外の世界についてそれなりに多くの情報を得ている様子だったと話した。トランプ米大統領による関税引き上げはもちろんのこと、ウクライナ戦争に北朝鮮軍が関わっていることも知っていたという。
ただし、シリアのアサド政権が崩壊したというニュースは初めて聞いたようだったという。スミス氏は「国民が指導者に不満を抱いている場合、時には指導者を追い出すケースもある、と慎重に説明したが、信じられないという様子だった」と話した。
パク・ソンミン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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