▲写真=UTOIMAGE
米中の貿易戦争が全方位に拡大する中、中国の航空会社「吉祥航空」が、1機1億2000万ドル(約171億円)の米ボーイング製旅客機の受領を電撃的に延期した。ブルームバーグ通信は11日、複数の消息筋の話として、吉祥航空が3週間後にボーイング社から787-9ドリームライナー1機の引き渡しを受ける予定だったが、この計画を無期限で延期したと報じた。中国財政部(省に相当)はその前日「(中国が米国に対して課した..
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米中の貿易戦争が全方位に拡大する中、中国の航空会社「吉祥航空」が、1機1億2000万ドル(約171億円)の米ボーイング製旅客機の受領を電撃的に延期した。ブルームバーグ通信は11日、複数の消息筋の話として、吉祥航空が3週間後にボーイング社から787-9ドリームライナー1機の引き渡しを受ける予定だったが、この計画を無期限で延期したと報じた。中国財政部(省に相当)はその前日「(中国が米国に対して課した)高率の関税の影響で、米国産の商品が今後中国市場で受け入れられるのは難しいだろう」と表明している。トランプ政権が今年、中国に課した追加関税率は累計145%で、中国による対米報復関税は125%に達する。
【写真】中国SNSに投稿された米国製品不買運動の動画
米中の関税戦争が激化する中、中国では企業と消費者を中心に「米国製品不買運動」が広がっている。中国当局は今月9-10日、米国旅行・米国留学を自粛するよう国民に呼び掛け、ハリウッド映画の輸入を制限する方針を発表したが、民間レベルでの反米運動も本格化しているのだ。北京にある中国系シンクタンクの関係者は「両国がすでに非常に高い関税を互いに課している状況で、中国は今後、米国との直接衝突を回避しつつ報復可能な方法で、内需拡大と米国製品不買運動を奨励するだろう」と分析した。
中国の一部の店には、米国人客を排除するような貼り紙が貼られていた。武漢市内の飲食店には「本日から米国人のお客さまからはサービス料104%を追加で頂戴します」と書かれたプラカードが掛けられていた。中国のSNS(交流サイト)「微博(ウェイボー)」には、中国のビリヤード場や居酒屋、宝石販売店の前に反米スローガンが書かれた貼り紙やポスターが貼られている写真が続々と投稿された。中国南部地域の靴メーカーは、中国版ティックトック「抖音(ドウイン)」に投稿した動画で「これからは米国の事業パートナーたちとは取引しない」「事業でお金を稼ぐよりも大切なのは愛国」と主張した。
中国のSNSでは「米国製品不買リスト」が急速に拡散している。微博や抖音で出回っているこのリストには、コカ・コーラ、iPhone(アイフォーン)、テスラ、ピザハット、マクドナルド、スターバックス、ナイキなどの米国ブランドが並んでおり、これらに代わる中国製品も紹介されている。中国のインフルエンサーたちは動画で「私は今後ナイキの代わりにLI-NING(リーニン、中国のスポーツウエアブランド)を着ます」「iPhoneをファーウェイのスマートフォンに替えます」と言って「国潮(グオチャオ、愛国心に基づいた消費)宣言」のリレーを続けている。中国のオンライン・ショッピング・モールでは「米中対等関税戦」と書かれたカップも販売されている。
米国の高率関税によって中国の輸出企業が打撃を受けると、ジンドン(京東)やピンドゥオドゥオ(拼多多、Temu)などの大手EC(電子商取引)企業や全国に流通網を持つ大型スーパーは、輸出向け製品の国内販売を支援する対策を次々と打ち出した。中国国営の中国中央テレビ(CCTV)が12日に報じたところによると、ジンドンは今後1年間で2000億元(約3兆9200億円)を投じて輸出企業の商品を大々的に買い取ると約束し、アリババ系列の生鮮食品プラットフォーム「盒馬鮮生(フーマーシェンション)」は「24時間超高速出店」窓口を開設し、輸出の道が閉ざされた企業の販路確保を支援すると発表した。ピンドゥオドゥオは今後3年間、中小企業に「1000億元(約1兆9600億円)の補助金」を支援すると明らかにした。全国に700カ所以上の店舗を持つ大型スーパーチェーン、ヨンフイ(永輝超市)は、在庫負担の大きい輸出企業の商品を15日以内に店頭に並べると発表した。同社はすでにコストコやサムズクラブなど米国の流通大手に納品していた中国のサプライヤー約70社と購買交渉を進めていると明らかにしている。中国の機械・繊維・軽工業・医薬・化学・農畜産品など5大輸出品目の関連業界は、「国内需要拡大」の共同声明を発表した。
中国当局は、米国製品不買運動が国内需要の拡大につながることから、これを奨励する可能性が高い。トランプ大統領の関税措置が本格化すると、米ゴールドマン・サックスは今年の中国の国内総生産(GDP)が最大で2.2%減少するとの見通しを示した。中国は金利や預金準備率の引き下げなどの金融緩和政策や、国債発行の拡大といった手段を通じて内需拡大に力を入れる方針だが、グローバル投資銀行バークレイズは、中国が最低でも1兆ドル(約143兆円)の追加景気刺激策を打ち出さなければ衝撃を緩和することはできないと推定している。
北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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