▲デジタル屋外広告看板が立ち並ぶ江南駅近くの江南大路。/イ・シンヨン映像メディア記者
4月15日午後3時、ソウル市の光化門広場で外国人の観光客グループが記念写真を撮っていた。ところが、カメラはおかしな方向を向いている。通常、光化門広場で記念写真を撮る場合、景福宮と北岳山を背景に撮影するものだが、これら観光客は反対の方向を向いていたのだ。
【写真】
コリアナ・ホテルの超大型デジタルサイネージ
アラブ首長国連邦から来たというアミールさん(36)は「あの巨大な電光掲示板を背景に撮りたかっ..
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▲デジタル屋外広告看板が立ち並ぶ江南駅近くの江南大路。/イ・シンヨン映像メディア記者
4月15日午後3時、ソウル市の光化門広場で外国人の観光客グループが記念写真を撮っていた。ところが、カメラはおかしな方向を向いている。通常、光化門広場で記念写真を撮る場合、景福宮と北岳山を背景に撮影するものだが、これら観光客は反対の方向を向いていたのだ。
【写真】
コリアナ・ホテルの超大型デジタルサイネージ
アラブ首長国連邦から来たというアミールさん(36)は「あの巨大な電光掲示板を背景に撮りたかった」とし、コリアナ・ホテルの外壁を覆った超大型デジタル屋外広告看板を指差した。この電光掲示板は横22メートル、縦60メートルと、面積(約1300平方メートル)がバスケットボールのコート三つ分とも言われている。アミールさんは「光化門広場のどこからでも電光掲示板が見えた」とし「ニューヨークのタイムズスクエアにも行ってみたが、あれよりもすごい」と興奮気味に語った。
屋外広告は、景気不況で冷え込んでいる広告市場では珍しく成長基調にある。超高画質ディスプレイなど外形的な変化だけではなく、ビッグデータや人工知能など、情報通信技術との融合を通じたデジタル化に成功し、新しい媒体として進化したためだ。ニューヨークのタイムズスクエア、ロンドンのピカデリーサーカス、大阪の道頓堀のようなランドマークを作り上げるとし、韓国政府が「屋外広告物の自由表示区域」を増やしており、デジタル屋外広告の成長に今後も拍車が掛かる見通しだ。
■「プログラマティック技術」との融合で換骨奪胎
屋外広告市場は2017年から年平均で約7%ずつ拡大している。韓国地方財政共済会韓国屋外広告センターが発刊した「2024屋外広告統計」によると、屋外広告の市場規模は2022年に4兆ウォン(約3960億円)を突破し、24年も4兆3017億ウォン(約4260億円)と成長基調を維持していることが予想されている。
デジタル屋外広告は特に好調を維持している。2022年の売上高が1兆2862億ウォン(約1270億円)と、前年比で33.9%増となり、初めて1兆ウォン(約990億円)を突破した。23年には1兆5072億ウォン(約1490億円)と17.2%増え、屋外広告市場全体の成長をけん引している。こうした傾向は世界でも見受けられる。グローバル市場調査機関のスタティスタによると、27年の世界デジタル屋外広告市場は166億ドル(約2兆3400億円)で、20年に比べて2倍にまで拡大する見通しだ。
印刷・放送広告と共に、いわゆる「レガシー・メディア(伝統媒体)」に分類されてきた屋外広告は「プログラマティック技術」と融合し、ターゲティングや成果測定が困難とされてきた従来の屋外広告の限界を克服し、革新的ニューメディアへの進化を遂げている。
広告業界の関係者は「プログラマティック技術には、機械学習やビッグデータの分析などで広告のターゲットを設定し、歩行者視線の動きで広告の注目度を確認する『視線追跡分析技術』や天気や交通状況により、広告素材をリアルタイムで調整する『DCO』技術などを適用している」とし「デジタル屋外広告でTPO(時間・場所・状況)に合わせた広告の送り出しが可能になった」と説明する。
韓国国内の化粧品メーカーのマーケティング担当役員は「弘大前の売り場近くの建物にデジタル屋外広告を出したところ、お客さんの流入に直接的な効果があった」とし「広告費は他のメディアよりも相対的に安い上、広告の修正が容易で、コストパフォーマンスが高い」と笑みを浮かべる。
CJ ENM系列のメゾメディアは、最近のトレンド報告書で「デジタル屋外広告は大型画面でコンテンツを楽しむことができる上、関心のある内容や人々の動きに応じてオーダーメード型の広告を送り出すことができる」とし「オン・オフラインの広告媒体を適切に融合すれば、広告に対するストレスを和らげながら、転換率(誘導後に行為を起こした消費者の占める割合)を極大化することができる」と話した。
■屋外広告物の規制緩和
屋外電光掲示板の全盛時代が到来している。韓国政府が昨年末、ソウル市の光化門と明洞、釜山市の海雲台一帯を第2期「屋外広告物の自由表示区域」に指定したのも追い風となっている。世界的な観光名所の造成を目標に、形態や大きさ、色彩、設置方法など屋外広告物の規制を大幅に緩和する地域を拡大する傾向にある。
2016年にソウル市江南区のコエックス一帯が初めて屋外広告物の自由表示区域として指定されたことで、さまざまな大きさや形態の屋外広告物が20個ほど設置、運営されている。しかし、一部で指摘されているように、いわゆる「光公害」は今後解決していかなければならない課題だ。
光化門には、コリアナ・ホテルのほかにも通信大手KT、教保生命、東亜日報、世宗文化会館、東和免税店などがデジタル屋外広告看板を設置したか、もしくは設置を検討しているという。数年後には、同地域がニューヨークのタイムズスクエアのように大型電光掲示板で彩られる観光名所になる可能性もあるというわけだ。広告業界の関係者は「こうした傾向は自由表示区域に指定された所だけでなく、他の地域にも屋外広告が増加する効果をもたらすだろう」との見方を示している。
キム・ソンユン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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