▲写真=UTOIMAGE
台湾・台北のカトリック台北大司教区の教会に設けられたローマ教皇フランシスコの弔問所。ミサを終えた弔問客が話題にしていたのは、前日に頼清徳総統が教皇の葬儀に出席しないと発表されたことだった。バチカンは台湾と国交を持つ12カ国の一つで、欧州では唯一の台湾と外交関係がある。26日に執り行われた葬儀にはトランプ米大統領、マクロン仏大統領など主要国の首脳らが出席した。このため、中国の圧迫から脱し、各国首脳..
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台湾・台北のカトリック台北大司教区の教会に設けられたローマ教皇フランシスコの弔問所。ミサを終えた弔問客が話題にしていたのは、前日に頼清徳総統が教皇の葬儀に出席しないと発表されたことだった。バチカンは台湾と国交を持つ12カ国の一つで、欧州では唯一の台湾と外交関係がある。26日に執り行われた葬儀にはトランプ米大統領、マクロン仏大統領など主要国の首脳らが出席した。このため、中国の圧迫から脱し、各国首脳と「弔問外交」を進める機会だったが、頼総統は欠席を決めた。
【写真】台北の教会に設けられたローマ教皇フランシスコの祭壇を訪れた頼清徳総統
これに先立ち、教皇の死去が伝えられた直後、頼総統は21日、速やかにソーシャルメディアで追悼声明を出し、21、22日の両日、総統府と行政院(内閣)の建物に半旗を掲揚した。22日には台湾外交部が「総統が台湾を代表し、葬儀に参列することを最優先目標に全力を尽くしている」とし、頼総統のバチカン行きを示唆した。しかし、外交部は23日、「頼総統ではなく、陳建仁元副総統を特使として派遣する」と立場を変えた。2005年4月、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が死去した際には、陳水扁元総統もバチカンでの葬儀に出席し、13年3月の教皇フランシスコの即位式には馬英九元総統が出席した前例があるため、頼総統の欠席はなおさら異例のこととして受け止められた。
弔問客らは一様に残念がっていたが、「政府の立場を理解している」と口をそろえた。ある弔問客(50)は「バチカンとの関係が重要なのは事実だが、総統の教皇葬儀不参加決定は外交的な象徴性より実質的な国際関係に集中しようという選択だった可能性が高い」とした上で、「カトリック信者は台湾人口の約1%に過ぎないため、その影響力が限定的であることも影響を与えたのではないか」と話した。頼総統の葬儀欠席は自発的なものではなく、中国の圧力とその後の波紋を懸念した苦渋の選択だったとの見方もあった。別の弔問客(39)は「台湾としては久しぶりに主要国の首脳と交流する良い機会だったが、中国からの圧力を甘受してまで総統が参加する必要があったのかはよく分からない」語った。さらに別に弔問客(40代)は「いくら政治的に敏感だとしても、弔問にさえ行くことが難しい現実が悲しい。こういうことがあるたびに弱小国の悲哀を深く感じる」と感想を述べた。
台湾外交部は23日の記者会見では、総統の教皇葬儀欠席に関連して、記者の質問が殺到した。総統の欠席が中国の圧力を受けたためではなかったのかという質問には「時間が非常に切迫しており、十分に協議できなかった」と答えた。総統の出席が容易でなければ、前職ではなく現副総統を派遣すべきだという指摘も出た。中興大国家政策公共事務研究所の紀和均助教授は聯合報に対し、「総統が出席できない場合、現副総統に国家を代表されることが格式に合うと思う」と指摘した。
台湾総統の教皇葬儀出席問題は緊迫する中台関係と関連して注目される。中華民国政府は台湾に移る前の1942年にバチカンと国交を結んで以来、これまで外交関係を保っている。一方、中国は台湾を政府と認めたという理由で、1951年にバチカンとの関係を断絶した。しかし、中国とバチカン関係が「雪解けモード」に入り、台湾とバチカンの関係にも微妙な変化が生じている。中国外交部も教皇フランシスコの死去に哀悼の意を表し、「バチカンとの関係改善を促進する意向がある」と表明した。中国の官製カトリック団体である「中国天主教愛国会」も公式哀悼メッセージを出した。
中国のこうした動きを巡っては、中国とバチカンの関係が特に教皇フランシスコの在位期間に急速に改善したことが反映されていると分析がある。中国は2014年8月、教皇フランシスコが韓国を訪問する際、初めて教皇の中国領空通過を許可し、教皇は習近平国家主席と中国国民に祝福のメッセージを伝え、訪中の希望を表明して台湾を緊張させた。
教皇フランシスコの在位期間にバチカンと中国間で長年の対立点だった司教任命権問題も解決された。2018年、双方は中国政府が独自に任命した司教をバチカンが承認し、中国は教皇を世界のカトリック教会の最高指導者と認定することで合意に達した。世界2位の人口大国である中国との接点を増やしたいバチカンは、台湾との関係の在り方に苦心せざるを得ない状況になった。
台北=リュ・ジェミン特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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