▲グラフィック=キム・ソンギュ
中国海軍艦艇が昨年1年間に韓国の管轄海域を330回以上通過していたことが4月29日までに分かった。中国軍艦艇は韓中両国の排他的経済水域(EEZ)が重なる西海暫定措置水域(PMZ)はもちろん、韓国のEEZも通過していたという。中国は西海内海化戦略により西海に構造物を設置すると同時に、韓国の管轄水域での活動も活発化させているようだ。
【写真】中国海軍の蘭州級駆逐艦
本紙が国民の力の厳泰永(オム・テヨン..
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▲グラフィック=キム・ソンギュ
中国海軍艦艇が昨年1年間に韓国の管轄海域を330回以上通過していたことが4月29日までに分かった。中国軍艦艇は韓中両国の排他的経済水域(EEZ)が重なる西海暫定措置水域(PMZ)はもちろん、韓国のEEZも通過していたという。中国は西海内海化戦略により西海に構造物を設置すると同時に、韓国の管轄水域での活動も活発化させているようだ。
【写真】中国海軍の蘭州級駆逐艦
本紙が国民の力の厳泰永(オム・テヨン)議員事務所を通じて入手した韓国軍合同参謀本部の資料によると、中国軍艦艇による韓国管轄海域の通過回数は昨年だけで330回以上、今年も4月中旬の時点で100回以上を数えるという。管轄海域とは沿岸国が主権あるいは排他的管轄権を行使する海域で、具体的には領海や排他的経済水域(EEZ)などを意味する。国際法上は公海だが、外国軍艦艇が通過すれば海軍の監視を受けることになる。
中国軍艦艇は韓国の領海までは侵犯しなかったが、領海に近い韓国のEEZまで事前の通告なしに通過していたという。韓国海軍は中国軍艦艇がEEZ内に入った場合、レーダーで追跡・監視を行い、領海に近づいた場合は警告メッセージを送るなどの対応に当たった。中国軍艦艇が最も多く通過したのは南海と西海のEEZで、東海も何度か航行していたという。管轄海域に入った中国軍艦艇の多くは山東省青島を拠点とする北海艦隊司令部所属の駆逐艦や護衛艦などだった。北海艦隊の潜水艦も韓国の管轄海域を通過したようだ。
中国軍艦艇による韓国管轄海域侵入回数は2017年は約110回だったが、翌18年は230回と2倍以上に増えた。これは米中の覇権争いが本格化し、台湾海峡の緊張が高まった時期に当たる。その後19年は290回に達し、22年までは200回台を維持していたが、23年には360回と再び大きく増えた。習近平・国家主席が3期連続の主席就任戴冠式ともいわれる22年の党大会演説で「台湾統一のためには武力の使用もためらわない」と明言したことで、西海での中国海軍の訓練が増えたことによるもの。中国は西海を韓半島有事はもちろん、台湾海峡有事も想定した戦区にしていると韓国軍は分析している。
中国は数年前から韓国海軍に対し、西海の東経124度よりも西側に入らないよう要求している。東経124度は西海の韓中中間線よりも東側で、一部は韓国のEEZも含む。国際法上の根拠もなく、中国が一方的に独自の「作戦ライン」を設定しているのだ。崔潤喜(チェ・ユンヒ)元韓国軍合同参謀本部議長は海軍参謀総長だった2013年、中国海軍司令院(韓国の海軍参謀総長に相当)の招待を受け中国を訪問した際、会談後の対話で中国側から「東経124度西側で海軍の作戦はするな」と言われたが、これに崔潤喜元議長は直ちに強く抗議したという。崔潤喜元議長は「中国が西海を自分たちの内海と考えていることが分かる」とした上で「深藍1号と深藍2号、固定構造物もこのまま放置すればその海域が全て中国の手に渡る。そのため韓国も強く対応しなければならない」と指摘した。
西海は韓国海軍第2艦隊や在韓米軍のキャンプ・ハンフリーズなど主要な軍事施設にも近く、軍事的にも重要な海域だ。そのため中国はさまざまな艦艇を送り制海権確保に向けた活動を続けている。2020年末には中国海軍の警備艇が東経124度を超えペンニョン島から40キロほど離れた海域にまで接近したが、その際韓国海軍の戦闘艦が現場に向かい中国の警備艇を追い返したことがある。
韓国政府は中国の西海構造物の対策として、PMZ内に海洋科学調査基地を設置するなど「比例的措置」で対抗する方策を検討しているという。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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