▲写真=UTOIMAGE
中国が独自開発した中型旅客機「C919」が米中による関税戦争の犠牲になりかねないとの報道が相次いでいます。中国はC919の国産化率を60%以上と説明していますが、航空機エンジン、運航システム、電子設備など重要部品は全て欧米から輸入しています。アメリカが本気になって輸出を阻めば、C919の生産は中断されかねない状況です。
【写真】中国SNSに投稿された米国製品不買運動の動画
トランプ米大統領は政権1..
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中国が独自開発した中型旅客機「C919」が米中による関税戦争の犠牲になりかねないとの報道が相次いでいます。中国はC919の国産化率を60%以上と説明していますが、航空機エンジン、運航システム、電子設備など重要部品は全て欧米から輸入しています。アメリカが本気になって輸出を阻めば、C919の生産は中断されかねない状況です。
【写真】中国SNSに投稿された米国製品不買運動の動画
トランプ米大統領は政権1期目に米国とフランスが合弁で生産するC919用ジェットエンジンの輸出中断を検討したことがあります。中国は米国に対する報復として、米ボーイング製の旅客機を受け取らずに相次いで送り返しましたが、米中関税戦争の犠牲になるのはボーイングではなく、中国が独自開発した中型旅客機C919になるのではないかというのが国際専門家の分析です。
ボーイングはただでさえ発注が積み上がっている状態なので、中国による旅客機受領拒否は大きな打撃ではないと言っています。中国が送り返したボーイング737MAX旅客機は、マレーシア航空やエアインディアなどが購入意向を表明しています。
■エンジン、降着装置などは欧米が供給
英フィナンシャルタイムズ(FT)は今月6日、「ボーイングとエアバスが支配する世界の旅客機市場に挑戦した中国初の国産旅客機C919が貿易戦争の混乱に直面した」と報じました。国営の中国商用飛機(COMAC)が開発したC919は、2023年に初の商業運航を始めました。これまで中国の国営航空会社に計17機を引き渡し、今年も30機以上供給する予定です。
C919は中国製旅客機とはいえ、主要部品は欧米ののメーカーが供給しています。旅客機に搭載されるLEAP-1Cエンジンは、米国GEアビエーションとフランスのサフラン・エアクラフト・エンジンズの合弁によるCFMインターナショナルが製造しています。中国は独自に長江(CJ)-1000Aというエンジンを開発中ですが、商用化には至っていません。
航空電子設備、運航システム、各種制御装置、センサーなどは米国のハネウェル、コリンズ、クレーン、パーカーエアロスペースなどが供給しています。アルミニウム製の胴体は米アルコニックス、ドアの信号システムはクレーン、燃料・油圧システムはパーカー、補助電源装置はハネウェルなどが納品しています。主要部品サプライヤー88社の内訳は、米国が48社、欧州が26社、中国が14社だということです。中国メーカーで高価な重要装備を供給している企業はないそうです。
他の製造業分野とは異なり、旅客機分野は中国国内に重要部品のサプライチェーン(供給網)がほとんど存在しないといいます。LEAP-1Cエンジンはフランスで組み立て、重要部品はGEの米オハイオ州にある工場で生産します。航空コンサルティング会社、エアロダイナミック・アドバイザリーのアナリスト、リチャード・アブラピア氏はFTに対し、「米国が望むタイミングでいつでも供給を中断することができ、中国国内に代替資材がない」と述べました。
■ボーイングは悠然 「購入希望は多い」
中国は米国による145%の関税爆弾に対抗し、米国製品に125%の関税を課しましたが、一部の宇宙航空分野の部品については対象から除外しました。米国による供給中断に備え、在庫を確保することが目的とみられます。COMACは昨年1年間で13機のC919を生産しましたが、今年第1四半期の生産はたった1機にとどまったということです。
中国の航空各社は米国の関税爆弾に対する報復として、最近ボーイング製の旅客機3機を受け取らずに送り返しました。中国当局が報復としてボーイング機の購入を禁止したためです。4月末には塗装まで終えた厦門航空のボーイング737MAXが米シアトルに戻ってきた様子が報じられました。ボーイングが今年中国に引き渡す旅客機は計50機ですが、中国の航空会社はそれをすべて受領しない立場とされます。
しかし、ボーイングは悠然と構えています。同社のケリー・オルトバーグ最高経営責任者(CEO)は4月23日、米エアデータニュースのインタビューに対し、「中国の受領拒否が経営に大きな影響を与えることはないだろう。(送り返された)機体を皆が欲しがっている」と発言しました。マレーシア航空などが既に購入意向を表明しています。
ボーイングは最近、旅客機の発注が殺到し、目が回るほど忙しい状況です。737MAXも納期を短縮するため、月間の生産を30機から38機に引き上げようとしています。
■中国は戦線拡大を自制 「正常な商業協力を支援」
中国はボーイング機3機を豪快に送り返しましたが、戦線拡大は自制しているようです。中国商務部報道官は4月29日、ボーイング製旅客機の受領拒否に関する質問に対し、「米国の関税を巡る横暴で全世界のサプライチェーンが大打撃を受け、国際航空運輸市場も混乱に直面している。多くの企業は正常な貿易・投資活動ができず、中国の航空会社とボーイングはいずれも大きな被害を受けた」とし、「中国は両国企業による正常な商業協力関係を継続的に支援したい」とも語りました。
中国は米国に次ぐ世界第2位の航空市場です。この市場を生かして自国の航空産業を育てるためにC919を開発しました。しかし、重要部品を全て欧米企業に依存しているため、米国の顔色をうかがうしかない状況です。中国国内だけで運航するC919を国際線に投入するには、欧米の航空安全当局による認証も取得する必要があります。
中国がレアアースの輸出を規制したように、米国がC919部品の供給中断に乗り出すのではないかとの見通しが示されています。英国の航空・防衛産業アナリスト、サッシュ・トゥサ氏はFTに対し、「米国はまだ供給中断について言及していない。恐らく次の段階の措置になるだろう」と述べました。
崔有植(チェ・ユシク)記者
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
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