▲グラフィック=梁仁星(ヤン・インソン)
ロシアが昨年11月以降、北朝鮮にドローン迎撃用の防空兵器「パーンツィリ(Pantsir)」を提供したことが、5月29日までに確認された。北朝鮮の対米・対南打撃用大陸間弾道ミサイル(ICBM)や短距離弾道ミサイル(SRBM)の精度や成功率を高めることができる軌道データや誘導技術なども渡したことが分かった。
【写真】プーチン大統領公邸の周辺に設置されているパーンツィリ-S1
国連の北朝鮮制裁監視組織で..
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▲グラフィック=梁仁星(ヤン・インソン)
ロシアが昨年11月以降、北朝鮮にドローン迎撃用の防空兵器「パーンツィリ(Pantsir)」を提供したことが、5月29日までに確認された。北朝鮮の対米・対南打撃用大陸間弾道ミサイル(ICBM)や短距離弾道ミサイル(SRBM)の精度や成功率を高めることができる軌道データや誘導技術なども渡したことが分かった。
【写真】プーチン大統領公邸の周辺に設置されているパーンツィリ-S1
国連の北朝鮮制裁監視組織である「多国間制裁監視チーム(MSMT)」が5月29日、「ロシアがウクライナ戦争で派兵支援を行った北朝鮮に、代価の意味で各種の武器や軍事技術を移転した」「これは全て国連安保理の北朝鮮制裁決議違反」と指摘した。MSMTは、昨年4月にロシアの拒否権行使で解体された国連北朝鮮制裁専門家パネルの活動を継承しようと、同年10月に新設された。MSMTは韓・米・日・豪・加・仏・独・伊・蘭・ニュージーランド・英の11カ国からなり、過去7カ月にわたって各国の情報アセット(資産)などを総動員して北朝鮮制裁への違反事項を調査し、5月29日に最初の報告書を出した。
報告書によると、ロシアは昨年11月から今年初めにかけて、短距離防空用の戦闘車両「パーンツィリ」を少なくとも1台、北朝鮮に渡した。パーンツィリとはロシア語でよろいという意味で、地対空ミサイルと対空砲を備えている。およそ4万メートル上空の巡航ミサイルやドローンを探知し、射程20キロで迎撃が可能だ。最新型のパーンツィリは射程が40キロを超える。北朝鮮は、ウクライナ戦争でドローンとの実戦経験を積んだのに続いて、ロシアからドローン防空兵器も手に入れたのだ。
また、調査によると、ロシアは衛星利用測位システム(GPS)の電波かく乱装備や使用法など電子戦用の武器と技術も北朝鮮に提供したことが分かった。北朝鮮は西海5島や江原道など休戦ライン付近で、不定期的に電子戦訓練を行っているという。北朝鮮の対南電波かく乱で、このところ韓国では通信基地局・航空機・船舶(漁船・客船・軍艦)の障害問題が発生しているが、今回のロシアの新式装備提供で北朝鮮の対南電子戦挑発がさらにひどくなりかねない、という懸念も生じている。
さらに、MSMTは報告書で「ロシアの弾道ミサイル関連の各種データや誘導技術も北朝鮮に移転された」と記した。北朝鮮がこれを基に、不十分だったICBMの大気圏再突入技術を補完することもあり得る、という指摘が出ている。このほか、北朝鮮の労働者が昨年1年間で8000人、今年上半期には数千人がロシアに派遣され、建設業・工業・IT・医療の現場に投入されたことも把握した。
今回の報告書には、北朝鮮の派兵だけでなく対ロ武器提供の現況も細かく盛り込まれた。北朝鮮は2023年9月から数カ月間、コンテナ2万個分以上のD20・D30けん引曲射砲、M30・M46曲射砲、82・122・130・152・170ミリ砲弾を提供したことが判明した。昨年中は200基以上の重砲、そして900万発の砲弾・ロケット砲弾を49回にわたってロシアの貨物船に渡した。ロシアはこれを極東の港で受け取った後、鉄道でロシア中西部の弾薬庫まで運び、ウクライナ戦争で使用した。
韓国外交部(省に相当)の当局者は「国連専門家パネルが解体されても国際社会の監視網は避けられない、ということが確認された」と語った。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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