▲グラフィック=キム・ソンギュ
忠清北道清州市の雲湖高校は先月、サッカー部の解散を宣言した。同校サッカー部は、国家代表MFのウォン・ドゥジェなどプロ選手を多数輩出した52年の伝統を誇る地域の名門チームだ。プロ・サッカー・チームの忠北清州FCのユースチームでもある。ところが、寮における選手たちの団体生活はその管理が困難を極めた上、教育および経営面でも容易でなく、学校側が解散に踏み切ったのだ。サッカー部の生徒と保護者たちは「突然解..
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▲グラフィック=キム・ソンギュ
忠清北道清州市の雲湖高校は先月、サッカー部の解散を宣言した。同校サッカー部は、国家代表MFのウォン・ドゥジェなどプロ選手を多数輩出した52年の伝統を誇る地域の名門チームだ。プロ・サッカー・チームの忠北清州FCのユースチームでもある。ところが、寮における選手たちの団体生活はその管理が困難を極めた上、教育および経営面でも容易でなく、学校側が解散に踏み切ったのだ。サッカー部の生徒と保護者たちは「突然解散を言い渡されて、どこに行けというのか」と反発する。これに対して学校側は、ひとまず今後1年間はサッカー部を引き続き運営するとの方針を打ち出したものの、それ以降は困難との立場を示している。
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全国の小中高校の部活が減っている。6月30日、教育部(日本の省庁に相当)によると、部活を運営する学校は2010年の6061校から昨年は3800校と、14年で2000校以上が廃部を余儀なくされた。学校の部活が3校に1校の割合で解散したのは、人口減少で部活の生徒募集が難航したほか、部活を取り巻くさまざまなうわさや疑惑が持ち上がったことで、運営も容易でなくなってきているためだ。学校の内外では、エリート選手を育成するために底辺が崩壊するという懸念の声が高まりを見せている。
光復(日本の植民地支配からの解放)直後の1946年に創立したソウル市中東高校のアイスホッケー部も解散手続を踏んでいる。もともと毎年新入生のうち6-7人をアイスホッケーの特待生として入学させていたが、今年は誰も取らなかった。今年2、3年生に上がった特待生が卒業すれば、アイスホッケー部は解散となる。中東高校がアイスホッケー部を解散することにしたのは、部活に関するさまざまな疑惑が持ち上げられたためだ。一昨年、父兄たちが資金を集めて監督に手渡したとの疑いが掛けられたことで、教育庁が調査を敢行。事実であることが判明したのだ。中東高校の関係者は「学校の名誉が失墜し、むしろアイスホッケー部をなくした方がいいと判断した」という。中東高校のアイスホッケー部が最終的に解散すれば、韓国国内の高校アイスホッケー部は4校(京畿高、景福宮高、京城高、光城高)だけが残ることになる。全国大会で優勝したことのある京畿道華城市の松山高校のバレーボール部も、部活を巡る各種不正のため、今年2月に解散した。バレーボール部の関係者が不法な賛助金を募ったほか、保護者から贈り物を受け取り、食事の接待も受けたという疑惑が持ち上がったため、学校側がこれ以上の運営は困難と判断したという。
部活を運営するある高校の校長は「部活の生徒たちは練習や大会参加のため、よく授業を欠席するが、学業習得のための雰囲気づくりにふさわしくないのは事実」とし「生徒たちの間で争い事があったり、監督の不正疑惑がうわさされたりすれば、学校が責任を負わなければならないため、いっそのこと部活をなくしてしまおうといった雰囲気」と話す。
非人気種目の場合、新入生募集が難航し、解散に追い込まれることもある。天下壮士(日本の横綱に相当)のキム・ジンやユン・ジョンスなどを輩出した40年の伝統を誇る仁川市の富開小学校シルム(韓国式相撲)部は昨年解散した。シルムの人気が衰え、新入部員が入ってこなくなったことで、自然消滅したわけだ。新入部員の募集が難航する学校は、他地域の生徒たちを受け入れて団体合宿させ、部活を維持している。ところが選手たちの実際の居住地と住民登録先が異なっていることから、「不法偽装転入」で教育庁に摘発されるなどの問題もしばしば生じている。最近、サッカー部の解散を巡り話し合ったある高校でも、偽装転入が摘発されたことで学校側が不利益を被ることになる、との懸念が大きな影響を与えたという。
突然部活を解散することで、プロを目指していた生徒たちの未来が閉ざされるという不満の声も上がっている。韓国のスポーツ界をリードしていくエリート選手の輩出にも支障を来しかねない。昨年のパリ五輪で韓国は団体球技のうち、女子ハンドボールを除いては全て予選落ちし、「球技種目の没落」という見出しが紙面を飾った。通常、本選に進出する球技種目は6-7種だが、昨年は1種目にとどまったのだ。体育会系では「少子化に伴う選手の減少が本格的に始まった」という話も聞かれる。こうした状況で、部活が相次いで解散することになれば、若いエリート選手たちはさらに減り、今後国際大会での入賞はさらに困難となることが予想される。
漢陽大学未来人材教育院のイ・ジョンホン教授は「各学校の負担を減らしながら、エリート選手を引き続き育成するためには、教育当局が地域別拠点型スポーツクラブの運営を活性化することで、今後も選手を輩出していかなければならない」と力説する。
キム・ミンギ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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