7月14日、出勤途中にラジオで、進歩(革新)系与党「共に民主党」の金炳周(キム・ビョンジュ)議員の発言を聞いた。陸軍士官学校を出た韓国陸軍の四つ星将軍出身で、民主党議員の中では最高の軍専門家だという金議員は「ドローン作戦司令部(ドローン司)が少なくとも3回にわたり、計7機の無人機を北朝鮮に送った」と、軍内部からの情報提供を根拠に作戦の時期・場所・飛行経路を詳細に公開した。
【写真】共に民主・金炳周..
続き読む
7月14日、出勤途中にラジオで、進歩(革新)系与党「共に民主党」の金炳周(キム・ビョンジュ)議員の発言を聞いた。陸軍士官学校を出た韓国陸軍の四つ星将軍出身で、民主党議員の中では最高の軍専門家だという金議員は「ドローン作戦司令部(ドローン司)が少なくとも3回にわたり、計7機の無人機を北朝鮮に送った」と、軍内部からの情報提供を根拠に作戦の時期・場所・飛行経路を詳細に公開した。
【写真】共に民主・金炳周議員が「尹錫悦を斬首せよ」とシュプレヒコールを上げる市民と写真撮影する様子
金議員が入手した情報の真偽はもちろん、韓国軍の無人機作戦が前政権の意図によって北朝鮮を挑発しようとしたものだったのかどうかは、現時点では不確実だ。だが金議員は、ドローン司隷下の101大隊がペンニョン島にいて、ドローン司には3Dプリンターで対北ビラ散布用の容器を作る能力があり、韓国軍の主な関心事の中に金正恩(キム・ジョンウン)の官邸および南浦一帯の海軍基地が含まれていることを、北朝鮮を含む全世界に公表した。
金議員は「ドローン司の幹部複数から情報提供を受けた」と語った。国家情報院(韓国の情報機関)第1次長を務めた民主党の朴善源(パク・ソンウォン)議員も6月30日、記者会見を開いて「当時のキム・ヨンデ・ドローン作戦司令官が領官(佐官)クラスの中隊長に当該作戦を指示した」として、将校の名前まで挙げた。現役軍人が与党の国会議員に、韓国軍の機密と推定される情報を残らず明かしたからできたことだ。
軍事作戦には、国益と安全保障のため知っていても伏せておくべき部分がある、というのは国防部(省に相当)出入りの記者にとって常識だ。公開した情報が、場合によっては作戦中の韓国軍将兵を危険にさらしかねないからだ。だが「平壌無人機事件」に関しては、こうした常識は例外らしい。予備役の四つ星将軍や元国家情報院第1次長などが現役軍人から情報提供を受け、先を争うように公開している。
非常戒厳で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は弾劾され、新たに発足した李在明(イ・ジェミョン)政権は内乱特別検察官(特検)に過去最大規模の検事60人を投入した。金議員の情報暴露配信があった7月14日、特検は合同参謀本部・国軍防諜(ぼうちょう)司令部・国防部国防情報本部・京畿道所在の無人機部隊など計24カ所を家宅捜索した。実体的真実が明らかになるのは時間の問題とみられる。こうした状況で、与党議員が先を争うように「情報生中継」をしている。
金議員と朴議員は昨年の非常戒厳直後、郭種根(クァク・チョングン)特殊戦司令官と会ってユーチューブでインタビューを生中継した。その後、当時の与党側および尹大統領の支持者を中心に「民主党によって郭司令官の証言が汚染された」という主張がなされた。この論争は国家的な分裂をいっそう深刻にした。こうした状況で両議員は、現役将校の情報提供を基に、100%確実だとは言えない内容を公開している。こうして知れ渡った内容と特検の捜査結果が一致しなかった場合、また別の国家的混乱が懸念される。
韓国は、核国家である北朝鮮を相手にしている分断国家だ。軍の秘密作戦が必要以上に暴き出される場合、北朝鮮に備える韓国の態勢が弱体化することは避けられない。「利敵罪」の核心は「敵を利すること」だ。現役軍人が情報を提供し、政界がこれを生中継している様子を見ると、「これが利敵罪なのではないのか」という疑問を抱く。
ヤン・ジホ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com