▲イラスト=UTOIMAGE
今年5月、米ロサンゼルス郊外のアルカディアにある病院から生後2カ月の赤ちゃんが頭が大きく揺さぶられて頭部出血を起こし、意識を失い入院したとの通報が警察にあった。赤ちゃんの両親は現地在住の中国系米国人であるシュアン・グオチン(宣国軍)容疑者(65)と妻のシルビア・ジャン容疑者(38)の夫妻だった。
【写真】代理母で21人の子を持った中国系夫妻と寝室が9部屋あるLAの自宅
夫婦はベビーシッターがひどく..
続き読む
▲イラスト=UTOIMAGE
今年5月、米ロサンゼルス郊外のアルカディアにある病院から生後2カ月の赤ちゃんが頭が大きく揺さぶられて頭部出血を起こし、意識を失い入院したとの通報が警察にあった。赤ちゃんの両親は現地在住の中国系米国人であるシュアン・グオチン(宣国軍)容疑者(65)と妻のシルビア・ジャン容疑者(38)の夫妻だった。
【写真】代理母で21人の子を持った中国系夫妻と寝室が9部屋あるLAの自宅
夫婦はベビーシッターがひどく殴って揺さぶったため、赤ちゃんが頭を負傷したと言ったが、直ちに治療を受けさせなかった疑いがある。警察は中国系のベビーシッター、リー・チュンメイ容疑者(56)の逮捕状を取得したが、逃走している。
アルカディアは中国系米国人が多く住む地域として知られる。ベッドルームが9室ある夫婦の自宅を捜索した警察は驚いた。6人のベビーシッターが15人の赤ちゃんと幼児の世話をしていたからだ。子どもたちは全員、髪を短く剃っていた。監視カメラには、子どもたちが体罰を受けたり、頬を殴られたり、立ったり座ったりを繰り返す場面が映っていた。病院に入院した赤ちゃんをベビーシッターが揺さぶる姿も記録されていた。別の6カ所でもこの夫婦と関係がある6人の子どもが育てられていた。一番幼い赤ちゃんは生後2ヶ月、一番年上の子は13歳だった。
警察は子どもたちの一部は身体的・感情的虐待を受けたが、夫婦がそれを知りながら放置していたとみている。夫婦は児童危険放置と虐待の疑いで逮捕されたが、それぞれ50万ドル(約7400万円)の保釈金を払って釈放された。
この夫婦は子どもたちが全て自分たちの子どもだと主張し、実際の出生証明書にも夫婦が親として記載されていた。しかし、夫婦が実際にこの子どもたちを出産するには、それぞれの出生時期が近すぎた。
市警察は連邦捜査局(FBI)に捜査を求め、子どもたちを直ちに保護し、保育委託先の家庭に移した。警察は21人の子どものうち1、2人はこの夫婦の実子である可能性が高く、残りは代理母を使って産んだとの見方を示した。
その後、警察の捜査と米マスコミの取材を通じて明らかになった事実関係はこうだ。問題の夫婦は「マーク代理出産」という会社を設立し、主にフェイスブックを通じて全米で代理母を募集して、赤ちゃんを産んだ。妻が代理母業者の設立者、管理者だった。妻は自分が「子どもたち全員の母親だ」と主張した。
こうして募集された代理母の一人であるケイラ・エリオットさんはNBCテレビの取材に対し、問題の代理母業者から「ある夫婦には10代の子どもがいるが、2人目の子を持つために10回も不妊治療を受けたが失敗した」という話を聞き、今年3月に代理母として出産したと話した。その後、この代理母業者の所在地がまさに問題の中国系夫婦の自宅と同じ場所だということが判明した。
警察の調べで、代理母のエリオットさんは自身が産んだ赤ちゃんがキューバで暮らしていると説明を受けていたが、実際には問題の夫婦宅で複数のベビーシッターによって育てられているという事実を知ることになった。
エリオットさんは「出産当時から『何かおかしい』という感じていた」と話した。赤ちゃんの父親になるシュアン容疑者は出産予定時間より何時間も遅れて到着し、病室でも赤ちゃんをほとんど見ることがなかった。そして去り際にエリオットさんに現金2000ドルを渡した。エリオットさんは「本当に赤ちゃんを切実に望む人の行動ではなく、完全に『取引』のようだった」と語った。エリオットさんはこの赤ちゃんの親権を得るための法的手続きを踏んでいる。
別の代理母であるアレクサ・ファソルドさん(26)も不妊夫婦を助けるつもりだったという。ペンシルベニア州でバス運転手として働くファソルドさんには結婚して子どもがいて、1月から移植された胚で妊娠した状態だった。今秋に男の子を出産する予定だった。ところが、自分と関わった代理母業者が警察の捜査を受けているという知らせを受けた。
ファソルドさんはマーク代理出産と昨年5月に契約を結んだ。一般的に米国では代理母業者は依頼主から12万5000~17万5000ドルを受け取り、代理母には医療費・出産費名目で3万~6万ドルを支給するという。
ファソルドさんは自分が産む赤ちゃんの両親になる顧客との接触を最小化する内容の契約を結び、主にフェイスブックのメッセンジャーと電子メールで連絡を取ったという。胚を移植する際にも、依頼主は健康問題で参加せず、2人の代理人が見舞い品のかごを持って現れた。ファソルドさんは「不妊夫婦が家族を持てるように助けようと思ったが、完全にホラー映画になった。私が妊娠した赤ちゃんを誰が連れて行くのか、その赤ちゃんの未来を考えると心が張り裂ける思いだ」と話した。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com