▲尹錫悦前大統領が内乱事件の特検からの出頭要求に応じない中、ソウル高等検察庁で取材陣が待ちぼうけしている/7月14日、コ・ウンホ記者
過去最大規模の特別検察官(以下特検)が設置され、記者たちは過去最悪の待ちぼうけ取材を強いられた。内乱容疑での特検、殉職海兵を巡る特検では瑞草洞、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領夫人である金建希氏を巡る特検では光化門であちこちに記者が集まっている。特検のオフィスがある建物のロビーの床、地下駐車場の床、ただの地面に座り込むことになる。午前10時と午後2時の出頭時刻には数十人が詰め掛ける。出入りする..
続き読む
▲尹錫悦前大統領が内乱事件の特検からの出頭要求に応じない中、ソウル高等検察庁で取材陣が待ちぼうけしている/7月14日、コ・ウンホ記者
過去最大規模の特別検察官(以下特検)が設置され、記者たちは過去最悪の待ちぼうけ取材を強いられた。内乱容疑での特検、殉職海兵を巡る特検では瑞草洞、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領夫人である金建希氏を巡る特検では光化門であちこちに記者が集まっている。特検のオフィスがある建物のロビーの床、地下駐車場の床、ただの地面に座り込むことになる。午前10時と午後2時の出頭時刻には数十人が詰め掛ける。出入りする被疑者や参考人を捕まえては一言でも聞こうとしているのだ。予想外の人物が現れると、床に尻をつけてとめどなく待っていた記者たちがまるでバネのように一斉に飛び上がる。尻がつらいこの仕事はもう2カ月間続いている。
待ち受けていると、かつて権力を握っていた人物に最も格式が低い場所で出会うことになる。前職大統領、国務総理、長官に時には道を塞いで質問を投げかける。彼らは被疑者や参考人、関係者などと呼ばれる。彼らの一部は記者たちを避けて入ろうとして、記者と鉢合わせになり戸惑うこともある。長い聴取を終えて出てくる時は、諦めた表情、怒った表情で記者たちの間を無言で通り過ぎる。ある被疑者は深夜の聴取を終えた後、目が充血したまま出てきて、出口でフラッシュをたかれると、体をまともに支えられず記者らとぶつかる場面もあった。
外患容疑を捜査する内乱特検ではいわゆる「星(軍幹部)」も標的になる。家宅捜索の過程で遺書が発見された軍幹部は、皮肉にも身柄確保を理由に緊急逮捕された。特検が逮捕状を請求したが、棄却された。釈放される姿を見るためにソウル拘置所を訪れた。正門をじっと見つめる目には屈辱感が漂っていた。手には荷物を詰め込んだビニール袋を一つ持っていた。それ一つしか持参できないほど逮捕当日は無慈悲だったことが見て取れた。震える声で「これ以上取り調べても何も出てこない」と語る人物を長く引き止めることはできなかった。道を開けた記者の後方でその軍幹部は迎えに来た妻をしばらく抱きしめた。
検察と裁判所、そして特検庁舎の床に座り込んで世の中を見直す。5年ごとに変わる時限付きの権力だが、特検捜査の前に立った尹錫悦政権関係者の没落は惨憺たるものだ。特別法で始まった特検の威勢も大したものだった。特検法は巨大与党が一方的につくったものが、特検は外部の干渉なしに「公正な捜査」であらゆる論議を払拭できると思う。疑惑の実態を究明し、過ちを犯した人物を断罪するにしても、被疑事実の公表禁止、被疑者防御権の保障といった価値も尊重するのは特検の役目だ。特検庁舎の玄関前で被疑者をひたすら待っているうちに、「特検は正義の実現と共にバランス感覚を発揮してほしい」という思いが広がった。
ヤン・インソン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com