韓国政府は来年度予算案を今年度よりも54兆7000億ウォン(約5兆8900億円、約8.1%)多い728兆ウォン(約77兆円)とし国会に提出する方針を固めた。文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の2022年も前年度比の増加幅が非常に大きく「財政中毒」と批判されたが、その時の増加幅は49兆7000億ウォン(約5兆2600億円)だった。ところが今回はそれをも大きく上回る過去最大の上げ幅で、財政の健全性を重..
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韓国政府は来年度予算案を今年度よりも54兆7000億ウォン(約5兆8900億円、約8.1%)多い728兆ウォン(約77兆円)とし国会に提出する方針を固めた。文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の2022年も前年度比の増加幅が非常に大きく「財政中毒」と批判されたが、その時の増加幅は49兆7000億ウォン(約5兆2600億円)だった。ところが今回はそれをも大きく上回る過去最大の上げ幅で、財政の健全性を重視した前政権から180度異なる財政の拡大だ。具潤哲(ク・ユンチョル)経済副首相は「やっと取り戻した(景気)回復の火種を成長の火花にするには、財政が呼び水とならねばならない」として財政拡大の方針を明確にした。
【グラフ】増加する国の借金
家計や企業と並ぶ経済の3主体の一つである政府が経済発展に向け必要な分野に財政を投入するのは当然だ。しかし家計や企業と同様に政府も借金の恐ろしさを知らねばならない。今回の予算案に財政の健全性を守ろうとした努力の跡は見当たらない。来年度の財政赤字はGDPの4%に相当する109兆ウォン(約12兆円)に上るという。これは先進各国が財政の基準としているGDPの3%を上回る額だ。
財政赤字は国の借金となるため、その不足分はどこかから持ってこなければならない。来年度の国の債務は今年度よりも113兆ウォン(約12兆円)多い過去最大の1415兆ウォン(約149兆8000億円)、GDPの50%を上回ると見込まれている。AI(人工知能)3強を目指す投資や研究開発予算の拡大など、成長動力を見出すための必要な予算もあるが、李在明(イ・ジェミョン)大統領の選挙公約だった児童手当の拡充や農漁村基本所得支給などバラマキ的な予算も数十兆ウォン(数兆円)含まれている。
さらに深刻な問題は4%台の財政赤字は来年で終わるのではなく、現政権の任期中は継続することだ。政府は国の債務がここ4年で487兆ウォン(約51兆5000億円)も急増し、2029年末にはGDP(国内総生産)の58%に相当する1788兆9000億ウォン(約189兆3300億円)に膨れ上がると見込んでいる。その増加幅は年平均で121兆7500億ウォン(約12兆8900億円)と過去最高に達する見通しで、これは文在寅政権の年平均81兆4000億ウォン(約8兆6200億円)の1.5倍に相当する。
国債を大量に発行すればその価値が下がり、金利が上昇する。これが家計と企業の借入金利上昇につながり、経済にも悪影響を及ぼすため国の信用格付けにもマイナスに作用するだろう。欧州で財政の優等生だったフランスはここ数年4-6%の財政赤字が続き、国の債務が急増したため格付けも低下し、IMF(国際通貨基金)から救済を受ける可能性も浮上している。世界経済の影響を受けやすい韓国経済にとって財政の健全性は最後の砦だ。大統領の任期が終わる時に国がどうなっているか、今から考えておかねばならない。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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