▲イラスト=UTOIMAGE
北朝鮮が昨年10月2日から先月26日まで329日間、毎日のようにGPS(衛星利用測位システム)かく乱攻撃を行っていたことが確認された。保守系野党「国民の力」に所属する姜大植(カン・デシク)議員=国会国防委員会=が8月31日に公開した科学技術情報通信部(省に相当)の資料によると、航空機4915機と船舶およそ1000隻がその影響を受けた。北朝鮮は主に黄海北道開豊、黄海南道海州から南に向けて強力な雑音..
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北朝鮮が昨年10月2日から先月26日まで329日間、毎日のようにGPS(衛星利用測位システム)かく乱攻撃を行っていたことが確認された。保守系野党「国民の力」に所属する姜大植(カン・デシク)議員=国会国防委員会=が8月31日に公開した科学技術情報通信部(省に相当)の資料によると、航空機4915機と船舶およそ1000隻がその影響を受けた。北朝鮮は主に黄海北道開豊、黄海南道海州から南に向けて強力な雑音信号を送出し、GPSの衛星信号の受信を妨害するという手法を使った。李在明(イ・ジェミョン)大統領就任後の各種対北融和策にもかかわらず、北朝鮮はこれをやめなかった。
【写真】韓国海軍偵察無人ヘリ「S100」
北朝鮮は昨年3月から6月にかけても計19日間、GPS信号をかく乱して航空機533機と船舶1055隻に影響を与えた。このため昨年4月と11月、12月の3回にわたり、韓国軍の無人偵察機が墜落する事故もあったという。特に、1機10億ウォン(現在のレートで約1億500万円)を超える韓国海軍の「S100」偵察無人ヘリ(カムコプター)が昨年4月、西海の西北島しょ付近で墜落したという事実は、今回初めて明らかになった。北朝鮮が黄海南道から延坪島に向けてGPSかく乱電波を送出した直後のことだった。姜議員によると、民軍合同調査団は「北朝鮮のGPS電波かく乱が原因でGPS受信不良、通信不良によりコントロール不能状態に陥り、海に墜落したものとみられる」という結論を下した。
合同参謀本部(合参)は昨年5月末、「GPSかく乱による軍事作戦制限事項は無い」とコメントした。韓国海軍の無人ヘリ墜落を隠蔽(いんぺい)しようとしたのではないかという指摘が出ている。これについて合参は、本紙の問い合わせに対し「軍事作戦関連の事案で、細かな回答は制限される」とした。昨年11月に韓国陸軍の偵察無人機「ヘロン」、昨年12月に同じく韓国陸軍の師団級偵察無人機「KUS9」も墜落した。複数の韓国軍消息筋が、これらの無人機も北朝鮮のGPSかく乱の影響で墜落したと伝えた。
GPS信号の受信がかく乱されると、無人機は高度の把握や通信ができなくなり、墜落する可能性が高まる。そのため国際電気通信連合(ITU)、国際海事機関(IMO)、国際民間航空機関(ICAO)などはGPSかく乱を禁止している。韓国政府は、これらの国際機関を通して北朝鮮にかく乱の中止を3回要請したが、回答はなかった。
姜議員は「北朝鮮の善意だけを見て展開する中途半端な対北平和政策は、韓国の安全保障を不安にするだけ」とし「韓米同盟を基に、よりしっかりと韓国の国防力を育むべき」と語った。
ヤン・ジホ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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