▲青瓦台(韓国大統領府)迎賓館で行われた就任100日の会見でメディアの質問に答える李在明(イ・ジェミョン)大統領。会見のテーマは「回復のための100日、未来のための成長」だった。11日撮影。/韓国大統領府提供
李在明(イ・ジェミョン)大統領は11日、与党・共に民主党が推進する「内乱特別裁判部」の違憲論争について「それのどこが違憲なのか」とした上で「三権分立に対する誤解があるが、司法の独立とは司法が勝手にやってもいいという意味ではない」「国民の主権への意思が最も重要だ」と発言した。内乱特別裁判部は国民の意向であり、それは三権分立とも矛盾しないという意味だ。李在明大統領は「司法府は立法府が設定した構造の中..
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▲青瓦台(韓国大統領府)迎賓館で行われた就任100日の会見でメディアの質問に答える李在明(イ・ジェミョン)大統領。会見のテーマは「回復のための100日、未来のための成長」だった。11日撮影。/韓国大統領府提供
李在明(イ・ジェミョン)大統領は11日、与党・共に民主党が推進する「内乱特別裁判部」の違憲論争について「それのどこが違憲なのか」とした上で「三権分立に対する誤解があるが、司法の独立とは司法が勝手にやってもいいという意味ではない」「国民の主権への意思が最も重要だ」と発言した。内乱特別裁判部は国民の意向であり、それは三権分立とも矛盾しないという意味だ。李在明大統領は「司法府は立法府が設定した構造の中で憲法と良心に従って判断する」との考えも示した。要するに「国会は司法の上にある」とも受け取れる発言だ。
韓国の憲法は「司法権は法官で構成される裁判所に属する」と明確に規定している。国会を含むいかなる外部勢力も司法に直接介入してはならないという宣言だ。「どの事件をどの裁判部が担当するかを決める決定権」は司法権の核心の一つだ。国会が内乱裁判部を設置し特定事件の裁判を担当させれば、それは憲法に反するのは明らかだ。
憲法にはさらに「大法院長(最高裁判所長官)と大法官(最高裁判事)以外の裁判官は大法官会議の同意を得て大法院長が任命する」とも明記されている。大法院長と大法官以外の人間による内乱特別裁判部の裁判官任命は違憲ということだ。大法院も「内乱裁判部は違憲の可能性がある」との見解を国会に伝えたが、これはこの明らかな事実を遠回しに指摘したものだ。
共に民主党は「過去にも反民特委(反民族行為特別調査委員会)特別裁判部や3・15不正選挙特別裁判部が存在した」として「内乱特別裁判部も問題はない」と主張している。当時の憲法には特別裁判部を認める条項が存在するなど、今の憲法とは全く異なる憲法だった。何よりも特定の政治勢力が自分たちの意向に沿う裁判官を選び裁判を行わせること自体が「裁判官の独立性」を保障した憲法に違反している。
李在明大統領は「全ては国民の意向に懸かっており、国民の意向を最もよく反映するところは国民が直接選んだ国会だ」とも主張した。「国民の意向」が込められた最も重要な文書が憲法だ。憲法に違反しながら「国民の意向」を語るのは矛盾であり単なる強弁に過ぎない。
選挙で勝った政派が「国民の意向は自分たちだけにある」と主張し、勝手に権力を行使することを民主主義は最も警戒している。その制度的仕組みとして制定され、これまで世界の民主主義諸国で守られてきた民主主義の柱が立法、司法、行政の三権分立と相互けん制だ。憲法が「司法権の独立」を明確に規定しているのは、選出された権力がこのけん制とバランスを破って独走した時に、司法と法治だけは独立を維持することで初めて民主主義が守られるからだ。
総選挙で共に民主党が勝ったのは、国民が立法権を委任したことを意味する。ただし「国民の意向」の名の下で司法を国会の下に置き、共に民主党の意向に沿う判事を選び、共に民主党が望む判決を出すことを望む国民がどれだけいるだろうか。一つの政派が選挙に勝ったという理由で立法・行政・司法の全てを掌握し、思い通り動かすことこそ独裁だ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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