▲グラフィック=パク・サンフン
韓米関税交渉で米国が韓国側に要求する3500億ドルの直接投資を短期で行うことがどれほど難しいかは、韓国による過去の対米海外直接投資(FDI)と比較しても確認できる。当初韓国政府が説明した通り保証、借款などで大半をカバーしたとしても困難であり、ましてやこれだけの投資資金を現金で調達することはさらに難しいとされている。
【グラフィック】韓国による海外直接投資(FDI)の推移
韓国輸出入銀行によると、海..
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▲グラフィック=パク・サンフン
韓米関税交渉で米国が韓国側に要求する3500億ドルの直接投資を短期で行うことがどれほど難しいかは、韓国による過去の対米海外直接投資(FDI)と比較しても確認できる。当初韓国政府が説明した通り保証、借款などで大半をカバーしたとしても困難であり、ましてやこれだけの投資資金を現金で調達することはさらに難しいとされている。
【グラフィック】韓国による海外直接投資(FDI)の推移
韓国輸出入銀行によると、海外直接投資制度が実施された1968年から今年上半期(1~6月)までの57年間で韓国が米国に直接投資した金額は2563億ドル。つまり韓国企業、政府、国策銀行などの対米投資を全て合わせても3500億ドルには1000億ドル近く及ばない。
韓国の対米直接投資は1980、90年代には年平均1億ドルにも及ばなかったが、2000年代に入って急増。2016年に100億ドルを突破した。 22年には過去最大の298億ドルを記録した。しかし、その後は主要企業の業績不振で対米直接投資が減少し、昨年224億ドルにとどまった。
昨年の対米直接投資を基準にすると、3500億ドルを投資するには15年以上かかる。過去最高を記録した22年を基準にしても、11年以上投資しなければならない。
■全世界の対米投資よりも多額
3500億ドルというのは、全世界が昨年米国に直接投資した金額を上回る額だ。
米商務省によると、米国が23年、24年に海外から受けた直接投資はそれぞれ2974億ドル、2923億ドルで3500億ドルを下回る。トランプ政権1期目の17~20年でも年平均2275億ドルだった。半導体支援法(CHIPS法)、インフレ抑制法(IRA)などを施行し、大規模な補助金と税制優遇で海外直接投資を積極的に誘致したバイデン政権でもその規模は3500億ドルには満たなかった。バイデン政権下での米国のへの年平均直接投資流入額は3334億ドルだった。
■韓国政府、米に「韓日では環境異なる」と説明
韓国政府は金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官と呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長を米国に急きょ派遣し、「韓日ではマクロ経済状況が違う」と説明している。日本は韓国に先立ち、米国に大半が現金出資で5500億ドルを投資することを決めた。
呂本部長は19日、仁川空港で記者団に対し、「日本と韓国は異なるという点をさまざまな客観的資料と分析を示しながら、最大限説得に努めている」と述べた。米国が要求する3500億ドルの対米投資確約は受け入れられないという現実的背景を説明したと言える。
韓国政府は、基軸通貨である日本円で米国と無制限の通貨スワップ協定を結んだ日本とは異なり、韓国はウォンを売って多額のドルを外国為替市場で調達する必要があり、ウォン相場が急落するなど金融危機を招く恐れがある点を挙げ、説得しているという。韓国政府は問題解決に向け、米国にウォンをドルと交換する通貨スワップを提案したが、米国は否定的な立場だという。
3500億ドルという投資規模だけでなく、投資先の決定、収益分配構造の不確実性に対する懸念も示されている。米国は韓国が投資した資金について、どのプロジェクトにいつ、いくら投資するかを決められる権限を要求するが、専門家は「資金は韓国が拠出して、米国がそれを勝手に使うのは現実的ではない」と指摘する。李在明(イ・ジェミョン)大統領も最近、米誌タイムとのインタビューで、米国の無理な要求について、「私が同意すれば弾劾されるだろう」と語っている。
しかし、韓国政府が米国の要求を拒否し続けることは難しいとの見方が大勢だ。コメ、牛肉など農畜産物市場の追加開放はないと強調している状況で、対米投資以外には韓国が米国に提示できる追加的なカードがないためだ。交渉が進展しない場合、相互関税や自動車関税が25%より高くなるか、非関税障壁や安全保障問題に発展する可能性も否定できない。西江大国際大学院の許允(ホ・ユン)教授は「米国は関税交渉の過程で韓国と日本を同等クラスの国家として扱っており、日本に比べて良好な条件を得ることは容易ではない状況だろう。交渉が少し長引いても、欧州連合(EU)、台湾などの対応を見極めながら、通貨スワップなど韓国のマクロ経済に及ぼす影響を最小化する安全装置を最大限設けるべきだ」と指摘した。
金智燮(キム・ジソプ)記者、崔銀京(チェ・ウンギョン)記者、安重顕(アン・ジュンヒョン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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