▲崔敏姫(チェ・ミンヒ)国会議員(共に民主党)。崔議員は10月15日、MBCラジオに出演し、「自分が市民運動勢力の中心だった」と述べた/ニュース1
韓国はいよいよ「386全盛時代」だ。 1996年ごろ、市民運動出身者が自分たちのグループの名称を決める際、「30代で80年代に大学に通った60年代」を略してつくった造語だという説もあれば、当時の最新型コンピューターモデル「386」に由来するとの説もある。まだ公式な辞書には収録されていないが、辞書形式のウェブサイトにはしばしば「386(世代)」という項目がしばしば登場する そして、歳月は流れ、「4..
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▲崔敏姫(チェ・ミンヒ)国会議員(共に民主党)。崔議員は10月15日、MBCラジオに出演し、「自分が市民運動勢力の中心だった」と述べた/ニュース1
韓国はいよいよ「386全盛時代」だ。 1996年ごろ、市民運動出身者が自分たちのグループの名称を決める際、「30代で80年代に大学に通った60年代」を略してつくった造語だという説もあれば、当時の最新型コンピューターモデル「386」に由来するとの説もある。まだ公式な辞書には収録されていないが、辞書形式のウェブサイトにはしばしば「386(世代)」という項目がしばしば登場する そして、歳月は流れ、「486」「586」とも呼ばれた彼らは現在、単に「86」という通称で呼ばれている。
【グラフ】「86世代運動圏の政治家は引退すべき」への共感度
2000年代初めに存在感を高めた386世代は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が自ら命を絶って以降、自分たちを「廃族(すなわち大罪を犯して子孫が官職に就けない一族)」と自嘲したこともあった。しかし、現在の李在明(イ・ジェミョン)政権で「386の世」が開かれた。首相や与党代表は「筋金入りの386」だ。閣僚の大半だけでなく、いわゆる「権力実力者ビッグ5」の一角とされる大統領室政務首席秘書官もそうだ。国会議長と国家情報院長も直前の世代の学生運動出身者である広義の「386」の一員であり、民主党国会議員は70人以上が学生会や市民運動に関連があるとの分析もある。民主党の友党・祖国革新党の非常対策委員長は386の看板スターだった。
単純な議席数以上に重要なことは「大統領も交代させた」といった武勇談は決して虚勢ではないとみられることだ。政界内部は彼らの同業者であふれ、彼らの友好勢力を布陣した法曹界、メディア界、労働界、学界、文化芸術界も難攻不落の陣地のように見える。大韓民国の権力の奥の間に入ることに成功した彼らは、もはや権力の最後の高みに向かって前進しようとしている。ここまで来たのも数十年にわたる激しい権力意欲の勝利ではないかと思う。
学生運動の世界史的代名詞は西欧の「68年革命」だ。1960年代末、冷戦体制と経済的豊かさを背景に先進民主・資本主義体制の権威主義と位階秩序に挑戦した激しい社会変革運動のことだ。それは歴史上初めて大学に端を発する社会革命であり、その後西欧圏の社会変動に決定的な影響を及ぼした。しかし、68年革命は基本的に「指導者不在の運動」だった。参加者が後日自ら権力者に変身したケースは非常に珍しく、政治家になっても目立たない素朴な職位がほとんどだった。韓国のように単なる学生運動経歴者が「汝矣島の政治屋」へと直行するケースはほとんどなかった。
韓国の86とは違い、西欧の68が残した遺産は権力の世界ではなく、知性の領域でさらに輝く。例えば1968年5月にフランスで起きた五月革命は左派内部で新マルクス主義が分化する契機になった。その結果、非暴力的議会主義方式による資本主義の改革可能性を議論し実験し始めた。68年革命が触発したポストモダニズムは、近代主義が自任してきた理性と合理主義、社会的啓蒙、権力の公共性、知識および科学の普遍性などに疑問を提起し、人類文明のもう一つの未来を提示した。
意思疎通と対話、十分な議論に基づく公論の再構成を通じ、合理性と近代主義の新たな出発を模索したユルゲン·ハーバーマスの「批判的社会学」も68年革命の結実の一つだった。韓国の民主化世代の知識人に大きな影響を与えた社会理論だ。現在韓国人が特に熱狂する「公正としての正義」もやはり理論的なルーツは68年革命だ。骨の髄まで自由主義と市場経済の国だった米国でジョン・ロールズが哲学的言語で平等と福祉論理を確立したことにも68年革命の影響が大きかった。68年革命を「事件」ではなく「革命」と呼ぶのもそのためだ。
これに対し、韓国の86は知の営みという側面から見て殻だけに近い。いまだに反帝国主義、反封建理念、民衆主義階級論の水準にとどまっている彼らの精神世界は、大学時代から体質化された無教養、反知性主義の必然的な代償と見られる。86世代と西欧の68年革命はいずれも学生運動から出発した。しかし、西欧の68革命が歴史の進歩に少なからず貢献し、人類共通の知的資産として残ったのに対し、これといった知的反省や進化を経験していない韓国の86は、日増しに私益と権力欲に染まっている。まさにそんな彼らの手によって全国民が血と汗で築いた塔、民主主義も無残に崩れ落ちる。
全相仁(チョン・サンイン)ソウル大名誉教授(社会学)
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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