▲軍事境界線を挟んで握手する米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記。2019年6月30日撮影。/NEWSIS
29日に韓国にやって来る米国のトランプ大統領は「金正恩(キム・ジョンウン)総書記と会えば何を提示できるのか」との質問に「こちらには(対北朝鮮)制裁がある」「おそらくこれ以上に大きなものはないだろう」と述べた。制裁解除が金正恩総書記との交渉で有力なカードになり得るという意味だ。トランプ大統領はアジアに向かう際に「北朝鮮は核保有勢力」「金正恩総書記が望めばあちら(北朝鮮)に行くこともできる」との考え..
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▲軍事境界線を挟んで握手する米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記。2019年6月30日撮影。/NEWSIS
29日に韓国にやって来る米国のトランプ大統領は「金正恩(キム・ジョンウン)総書記と会えば何を提示できるのか」との質問に「こちらには(対北朝鮮)制裁がある」「おそらくこれ以上に大きなものはないだろう」と述べた。制裁解除が金正恩総書記との交渉で有力なカードになり得るという意味だ。トランプ大統領はアジアに向かう際に「北朝鮮は核保有勢力」「金正恩総書記が望めばあちら(北朝鮮)に行くこともできる」との考えも示した。トランプ大統領は自ら望んでいるノーベル平和賞受賞のためには制裁解除も辞さない構えのようだ。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記は2018年「非核化ショー」で米朝対話と南北対話に応じた。これは言うまでもなく制裁解除が目的だった。2016年に核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)を立て続けに行ったことで国連安全保障理事会は北朝鮮に対して輸出品1-3位の石炭、繊維製品、水産物の取引に加え、「ドル箱」とも言われた海外への労働者派遣も禁じ、北朝鮮への石油輸出も制限した。当時は中国とロシアも制裁決議に賛成した。その結果、北朝鮮から中国への輸出は90%近く減少した。最近は中ロ両国が北朝鮮を背後から支えているが、銀行でのドル取引ができないため彼らは現金を持ち運ばねばならない。北朝鮮は金融制裁について「血が枯れ果てる」と表現したこともある。
金正恩総書記は2019年にトランプ大統領と会談した際、すでにくず鉄同然だった寧辺核施設閉鎖の見返りに全ての制裁解除を求めた。トランプ大統領が席を立とうとすると、北朝鮮は閉鎖する施設を寧辺周辺まで広げる考えも示した。それだけ制裁解除を強く望んでいたのだろう。制裁で北朝鮮経済が完全に破綻し、自分たちも崩壊する崖っぷちに追い込まれたと金正恩総書記が判断すれば、自ら核暴走をストップする可能性もなくはないだろう。
国連安保理制裁の解除には常任理事国全ての同意が必要になる。中国とロシアは北朝鮮を後押ししており、これまで解除に慎重だったトランプ大統領の考えも変わりつつある。韓国統一部(省に相当)の鄭東泳(チョン・ドンヨン)長官は先日、北朝鮮の核保有を認めるかのような発言で制裁の緩和を主張した。今年1月にトランプ大統領が金正恩総書記と会談したい意向を明確にし、その上北朝鮮を「核勢力」と表現した際、韓国の与党・共に民主党はトランプ大統領のこの発言を歓迎した。李在明(イ・ジェミョン)政権もトランプ大統領の態度が変われば好意的に受け取る可能性が高い。
文在寅(ムン・ジェイン)元大統領は2018年にフランスのマクロン大統領と会談した際「北朝鮮制裁の緩和」を求めたが、マクロン大統領は「安保理制裁は今後も続ける」としてこれに応じなかった。制裁は北朝鮮の核開発を阻止する最後の手段だ。それを守るためフランスと英国が持つ安保理での拒否権に頼るしかない綱渡りの状況が今後本当に来るかもしれない。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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