▲カンボジア・プノンペンの大韓民国大使館/聯合ニュース
「大韓民国の外交官は領事業務をさげすんでいる」
あるフリージャーナリストがSNS(交流サイト)に投稿したこの内容を見て非常に驚いた。しかしよく考えるとカンボジアで起こった事件後、この言葉は領事業務全般に対する韓国国民のネガティブな認識を示すものと考えるようになった。生きるか死ぬかの状況で「自分で現地の警察に通報してください」「勤務時間にもう一度来てください」と言われた時の絶望は想像し難いものだ。
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▲カンボジア・プノンペンの大韓民国大使館/聯合ニュース
「大韓民国の外交官は領事業務をさげすんでいる」
あるフリージャーナリストがSNS(交流サイト)に投稿したこの内容を見て非常に驚いた。しかしよく考えるとカンボジアで起こった事件後、この言葉は領事業務全般に対する韓国国民のネガティブな認識を示すものと考えるようになった。生きるか死ぬかの状況で「自分で現地の警察に通報してください」「勤務時間にもう一度来てください」と言われた時の絶望は想像し難いものだ。
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告発や批判があれば問題の本質を把握し、解決策を見いださねばならない。特派員として約4年勤務し、海外公館職員や外交官として働く政府関係者を間近で取材し記事を書いてきた。その過程で領事業務に関するさまざまな問題や表に出せない事情をたくさん見聞きした。結論から言えば「大韓民国の外交官は領事業務をさげすんでいる」と感じさせる、公館の構造的な問題があることに気付いた。
大韓民国の組織はどこも人手不足だが、大使館や領事館も例外ではない。特に海外に旅行に出かける国民や海外に居住する国民が急増した影響で問題はさらに深刻になった。フランスには年間80万人以上の韓国人が訪れ現地には約3万人が住んでいる。すりや盗難は日常的に起こり、強盗や失踪事件も珍しくない。しかしこれらの問題を担当する警察領事は韓国から派遣された警察官と現地で採用された実務担当者の2人だけだ。これとは対照的に教育分野では外交官身分の2人が派遣され、職員を2-3人現地採用している。緊急事態に備え大使館や領事館に当直を置く余裕もない。仕事を終えて帰宅する職員が専用の携帯電話で対応するだけだ。
さらに深刻な問題は一部公館での綱紀の緩みだ。通常の組織と同じように公館にも水を漏らす「どじょう」(周囲に悪影響を及ぼす人)がいる。パワハラ、不倫、勤務怠慢、常習的な飲酒、足の引っ張り合い、駐在する国の侮辱、職権乱用などさまざまなパターンがある。しかしこのどじょうたちを追い出して綱紀を粛正するのは非常に難しい。公館の職員はほとんどが3年任期で、他部処(省庁)から派遣されるケースも多いため、人間関係は常に一時的だ。メディアによる監視も全く不十分だ。そのため公館長も部処の責任者も「自分がいる時はとにかく何事もないように」としか考えていない。最終的に泥水は浄化されず池全体に広がる。この現状を目の当たりにした公館職員は国民の安全や権益よりも「私のこの大切な3年間をいかに充実して過ごすか」により大きな関心を向ける。
前政権では海外に在住する韓国人が公館職員の不正行為に関する資料をまとめて当時の野党議員事務所に提出したことがある。どれほど不満がたまっていただろうか。「政権が変わったのだから、現政権では海外で安心して仕事や旅行ができる状況になってほしい」と誰もが考えているはずだ。海外公館の構造的な問題を解決できなければ、第2、第3のカンボジア事態はいつ起こってもおかしくない。
パリ=鄭喆煥(チョン・チョルファン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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