▲写真=UTOIMAGE
米国のドナルド・トランプ大統領が再び政権を取った後、最初に日本を訪問し、10月28日に高市早苗首相と首脳会談を行って「米日同盟の黄金時代が到来した」と宣言する中、この日の会談では見慣れぬ顔がカメラに捉えられ続けた。高市首相に密着して通訳を担当した高尾直・外務省日米地位協定室長だ。高尾室長は、トランプ大統領が「偉大な友人」と呼ぶ故・安倍晋三元首相の英語通訳出身で、「ブロマンス(bromance・男..
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米国のドナルド・トランプ大統領が再び政権を取った後、最初に日本を訪問し、10月28日に高市早苗首相と首脳会談を行って「米日同盟の黄金時代が到来した」と宣言する中、この日の会談では見慣れぬ顔がカメラに捉えられ続けた。高市首相に密着して通訳を担当した高尾直・外務省日米地位協定室長だ。高尾室長は、トランプ大統領が「偉大な友人」と呼ぶ故・安倍晋三元首相の英語通訳出身で、「ブロマンス(bromance・男性同士の特別な友情)」を誇示していたトランプ大統領と安倍元首相が対面するたび、その場にいた人物だ。トランプ大統領が「小さな首相のようだ」「これほど有能な外交官がいるとは知らなかった」と高く評価したほどの親しみぶりで、主要な瞬間になるたび、日本外交の「リリーフ」として呼び出され、登板している。
【写真】「日本外交の秘密兵器」高尾直室長
米国生まれの高尾氏は、ネーティブレベルの英語の実力を誇るといわれている。中学3年のときに日本へ渡り、東京大学法学部を卒業。2003年に外務省入りしてハーバード大学ケネディ・スクールで修士号を取った。主に北米業務を担当し、ワシントン・北京の公館で勤務した経歴もある。高尾氏は専門通訳者ではない職業外交官出身だが、16年に当時の安倍首相が金のゴルフクラブを持ってニューヨークのトランプ・タワーでトランプ大統領と会ったときから、英語通訳を引き受けてきた。14回の首脳会談、36回の電話会談、5回のゴルフ会合など、トランプ大統領と安倍首相が言葉を交わす瞬間のほとんどに陪席してきた生き証人なのだ。特に両首脳のゴルフ会合中、カートの後部座席に同席して安倍首相の日本語を英語で伝える様子が大きな話題になり、「スーパー通訳」という別名も付いた。
トランプ政権1期目の大統領副補佐官(国家安全保障担当)を務めたマット・ポッティンジャー氏は、メディア上で「疾走するゴルフカートの後ろにかじりついたままでも、日本の指導者の軽快で単調な発言を、心を揺さぶる英語で伝えた」「彼が今後、どのような役割を務めようと、日本外交において大きな資産になるだろう」と評した。高尾氏は米日会談を前にトランプ大統領関連の動画、ゴルフのルールなどを何時間も研究し、通訳の準備をしたという。単に英語の実力だけではなく、気配や状況判断能力などに優れ「同じ話でも気持ちのいい表現をする才能がある」という。こうした理由から、トランプ大統領の目にも留まり、かつては高尾氏を「小さな首相」という愛称で呼んだ。外交消息筋は「トランプ大統領がジョークを込めて高尾氏を『次期首相』と表現したという後日談も伝えられ、彼が駐中日本大使館に赴任した当時、西側外交官の間でかなり有名になった」と伝えた。
日本外交は、こうして捉えたチャンスを逃さず、対米外交の「資産」になった高尾室長を重要な瞬間になるたびにリリーフとして登板させた。今年2月、当時の石破茂首相がホワイトハウスでトランプ大統領と初めて対面したときも、外務省幹部としては異例の首相通訳を務め、「トランプ対策の切り札」(読売新聞)と言われた。高尾氏は現在、外務省で駐留米軍に関する法律・制度などを管轄する日米地位協定室長を務めている。トランプ政権2期目の残りおよそ3年の任期中、米日間にはさまざまな外交・安全保障、経済・貿易懸案が山積みとなっているだけに、今後も引き続き2国間外交で主要な役割を果たすことになるものとみられる。
ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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