韓国検察当局がいわゆる「大庄洞開発不正事件」で起訴された民間企業関係者の一審判決に対し控訴せず、二審は民間企業関係者に有利な方向で展開される可能性が高まった。一審で無罪となった特定経済犯罪加重処罰法上の背任や一部の収賄容疑は検察の控訴断念で無罪が確定し、有罪となった起訴事実についてのみ争われることになった。元次長検事の弁護士は「大庄洞事件の被告らは手足が縛られたまま防御しかできない検察を相手に二..
続き読む
韓国検察当局がいわゆる「大庄洞開発不正事件」で起訴された民間企業関係者の一審判決に対し控訴せず、二審は民間企業関係者に有利な方向で展開される可能性が高まった。一審で無罪となった特定経済犯罪加重処罰法上の背任や一部の収賄容疑は検察の控訴断念で無罪が確定し、有罪となった起訴事実についてのみ争われることになった。元次長検事の弁護士は「大庄洞事件の被告らは手足が縛られたまま防御しかできない検察を相手に二審のリングに上がることになる」と形容した。
【表】大庄洞一味が検察の控訴放棄で事実上無罪になった理由
■不当利得7800億ウォンの追徴できず
金万培(キム・マンベ)氏ら被告の一審判決で最も論議を呼んだのは、検察が被告の収益7886億ウォン(約840億円)のうち不当利得7814億ウォンの追徴を求めたのに対し、追徴額が473億ウォンに削られた点だ。検察は犯罪収益を最大限追徴するため、被告らが職務上秘密を利用した点を挙げ、「利害衝突防止法違反」の罪を適用し、被告同士が授受した賄賂を追徴額に含めた。
しかし、一審は「被告が利用したトンネル位置情報などは職務上の秘密には当たらず、残りは公訴時効が成立した」とし、利害衝突防止法違反については無罪・免訴の判決を下した。その上で背任による犯罪収益と賄賂などのみで追徴金を算定した。
検察が控訴した場合、二審ではそれが主な争点になるというのが法曹界の見方だった。しかし、検察の控訴断念により、資本金5000万ウォンで7800億ウォン余りの収益を上げた被告らに対する追徴額はほとんどなくなった。検察は当初、金万培氏に6111億ウォンを追徴しようとしたが、一審で認められたのは428億ウォンだけで、5683億ウォンは回収できなくなった。南旭(ナム・ウク)氏の場合、検察が不当取得だとして主張した1010億ウォンは認められなかった。
検察が控訴を断念すれば、「不利益変更禁止の原則」に従い、被告に対する量刑や追徴額を一審よりも高めることはできない。被告に対する量刑も一審に比べ軽くなる可能性が高い。
被告らが城南都市開発公社に4895億ウォンの損失を与えたという特定経済犯罪加重処罰法上の背任についても事実上無罪が確定した。一審は「背任の金額を算定するのは困難だ」として業務上背任罪だけを認定した。それも検察の控訴断念で確定した格好だ。ある高裁判事は「検事が控訴しなかった部分は控訴審での審理範囲から除外される」と説明した。
■チョン・ジンサン氏の賄賂も無罪?
検察の控訴断念は関連事件にも影響を及ぼす見通しだ。李在明(イ·ジェミョン)大統領の最側近で、民間企業の共犯として起訴された鄭鎮相(チョン・ジンサン)被告(元共に民主党政務調整室長)の一審判決に大きな不確定要素として作用する見通しだ。
大庄洞事件の一審は、柳東珪(ユ・ドンギュ)元城南土地開発公社企画本部長が金万培氏から5億ウォンを受け取り、428億ウォン相当の収益分配の約束を取り付けた点について、賄賂には当たらないと判断した。不正な請託を受け、便宜を図った見返りであることは事実だが、5億ウォンは背任犯罪による利益を分配したものであり、贈収賄の罪では処罰できないとの判断だ。
鄭鎮相氏も大庄洞事件の被告らから収益428億ウォンについて約束され、2億4000万ウォンに賄賂を受け取ったとして起訴された。現在はソウル中央地裁で一審の審理が進んでいる。現職判事は「鄭鎮相氏の事件を担当する判事が今回の一審判決に必ず従わなければならないわけではないが、疑惑と事実関係が相当部分重なっており、影響を受けることは避けられないだろう」と話した。
■「城南市首脳」のために口封じ
検察による異例の控訴断念を巡り、法曹界からは「大庄洞事件の被告らが『城南市首脳』に不利となる陳述をできないように、検察が被告らの口を塞いだ」といった見方まで出ている。
これに先立ち、一審は当時の城南市長だった李在明(イ・ジェミョン)大統領と鄭鎮相氏が大長洞事件の被告らの背任行為に加担していたのかについて、直接判断を示さなかった。ただ、「城南市首脳部が主な決定を下した」「柳元本部長は中間管理職の役割だった」「柳元本部長が民間業者から受け取った賄賂3億ウォンのうち、一部は鄭鎮相氏、キム・ヨン氏に渡ったとみられる」とし、犯行に相当部分関与していたと判断した。
しかし、検察の控訴断念で、二審では被告の陳述も変わる可能性が高くなった。検察の控訴断念で減刑の可能性が高まった状況で、権力を握る現職大統領に不利な陳述を行う誘因がなくなったからだ。実際に南旭氏らは一審判決後、鄭鎮相氏の裁判に証人として出廷し、「検察の圧迫と懐柔で虚偽の供述を行った」とそれまでの主張を覆した。
パン・グクリョル記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com