▲鄭成湖法務部長官/ナム・ガンホ記者
韓国の鄭成湖(チョン・ソンホ)法務部長官は12日、検察による「大庄洞事件」の控訴放棄と関連し、「『重い刑が言い渡されたが、慎重に判断する必要があるのではないか』とだけ言った。控訴放棄を指示してはいない」とした上、「捜査を指揮しようとしたのならば書面で行っただろう」と述べた。 「慎重に検討」との発言が外圧だと感じられるのではないかとの指摘について、鄭長官が国会内で記者団の質問に答えた。鄭長官は「ど..
続き読む
▲鄭成湖法務部長官/ナム・ガンホ記者
韓国の鄭成湖(チョン・ソンホ)法務部長官は12日、検察による「大庄洞事件」の控訴放棄と関連し、「『重い刑が言い渡されたが、慎重に判断する必要があるのではないか』とだけ言った。控訴放棄を指示してはいない」とした上、「捜査を指揮しようとしたのならば書面で行っただろう」と述べた。 「慎重に検討」との発言が外圧だと感じられるのではないかとの指摘について、鄭長官が国会内で記者団の質問に答えた。鄭長官は「どこが外圧なのか。日常的に言っていることだ」と答えた。同日辞意を表明した盧万錫(ノ·マンソク)検察総長職務代行については「理解できない」とも語った。
【早わかり】2019年7月に放ったブーメランが2025年11月に直撃
しかし、鄭長官が6年前には「法務部長官の公式指示ではない意見表明だけでも捜査チームが圧力を受けかねない」という趣旨の発言を行っていた。政界と法曹界は「状況によって立場が180度変わってもよいものか」との指摘が出ている。
鄭長官は国会で民主党所属の法制司法委員だった2019年7月8日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)検察総長候補(当時)の人事聴聞会で、「青瓦台(大統領室)や大統領の意思が法務部長官を通じて、または直接検察総長に伝えられ、事件を歪曲(わいきょく)し、実体的真実を変化させると国民の多くが疑っている」と発言した。
鄭長官は当時、その一例として、2013年の国家情報院コメント操作事件で捜査チーム長の尹錫悦氏が当時、黄教安(ファン・ギョアン)法務部長官と曺永昆(チョ・ヨンゴン)ソウル中央地検長らによる外圧を暴露したことに言及した。尹錫悦氏は同年10月の国政監査で「(曺地検長から)逮捕状と押収捜索令状を認められなかった」「捜査初期から外圧が深刻で困難な点が多く、黄長官も無関係ではない」と述べた。しかし、曺地検長は「細かく検討しろとは言ったが、裁可したわけではなかった」と述べ、黄長官も「圧力を加えたり不当に捜査をできなくしたことはない」と反論した。
双方の立場が食い違ったが、鄭長官は「(法務部長官などが)公式に指示しただろうか。(それでも)相当程度外圧と感じたというのが事実と判明した」と述べ、尹錫悦氏を支持した。
鄭長官はまた、2014年のセウォル号事故当時、黄教安法務部長官が現場での事故対応に不手際があったとされた木浦海洋警察署の船舶の船長に業務上過失致死容疑を適用しないよう光州地検に圧力をかけた疑惑に触れ、「候補者(尹錫悦氏)が検察総長になれば、指示が正当かどうかに関する明確な基準と原則を設けるべきだ」と述べた。法律専門家は「鄭長官の過去の発言を基準にしても、今回の控訴放棄で『慎重に検討しろ』という長官の発言は捜査チームに十分に外圧となり得る」と話した。
ソウル大法学部出身で、当選5回の国会議員である鄭長官は、普段から合理的で慎重だと評されている。与党議員としてはもちろん、野党だった際にも検察の政治的中立性を強調してきた人物だ。しかし、現政権初の法務部長官に就任してからは、態度が変わったとの評価がある。
鄭長官は9月30日の閣議で、李在明(イ・ジェミョン)大統領が検察の控訴慣行を指摘すると、「毎日検察局の業務報告を受けながら、口頭指示をしている」と述べ、論議を呼んだ。法務部長官は具体的な事件については検察総長だけを指揮できると定められているからだ。検察庁の廃止についても、鄭長官は当初、慎重論ないしは反対意見を示していたが、与党が強く推し進めると、密かに立場を変えた。
法曹界には鄭長官が検察に控訴放棄を暗示しただけでも、職権乱用容疑が適用され得るとの受け止めもある。2001年、慎承男(シン・スンナム)元検察総長が蔚山市長の収賄事件を捜査する蔚山地検長に「捜査がオープンにされない方がよい」「できない事件なら内偵を終了した方がよい」などと不当な指示を行い、職権乱用で有罪が確定したケースと似ているからだ。
ユン・ヒゴン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com