▲イラスト=UTOIMAGE
韓国政府が全ての中央部処(省庁)に、公務員による「内乱加担」の有無を調査するタスクフォース(TF、作業チーム)を発足させ、首相室と各部処(省庁)に「内乱行為情報提供センター」を設置すると発表した。「昨年12月3日の非常戒厳宣布における前後過程に参加・協力した同僚を告発しろ」と公務員たちに言っているということだ。首相室は「情報提供者には徹底した匿名性を保障し、不利益を与えない」と言った。「同僚告発..
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韓国政府が全ての中央部処(省庁)に、公務員による「内乱加担」の有無を調査するタスクフォース(TF、作業チーム)を発足させ、首相室と各部処(省庁)に「内乱行為情報提供センター」を設置すると発表した。「昨年12月3日の非常戒厳宣布における前後過程に参加・協力した同僚を告発しろ」と公務員たちに言っているということだ。首相室は「情報提供者には徹底した匿名性を保障し、不利益を与えない」と言った。「同僚告発」を政府が奨励しているのだ。スマートフォンも「『自発的』に提出しろ」としている。これを「自発」と受け止める公務員はいないだろう。
【表】「内乱加担」調査に対する公務員の反応
公務員が内部の不正・腐敗などを告発する公益申告は奨励すべきだろう。しかし、政府が今、しようとしているのはそうではない。TFの調査対象は49の中央行政機関に所属する公務員で、その数は約75万人に達する。文在寅(ムン・ジェイン)政権も「積弊清算(過去の政権の不正腐敗あぶり出し)」をするとして19部処にTFをつくり、100人を超える前政権の関係者を捜査したが、今回のように汎(はん)政府で一律の方式により内部情報の提供を募ることはなかった。
75万人のほぼ全員が、非常戒厳が宣布されるとは思いもしなかったことだろう。このような人々を対象に非常戒厳への加担・協力者を見つけ出すという発想からして非常識だ。これは、普段から前政権に協力的で、現政権には批判的な公務員をあぶり出すための「密告奨励」に近いのではないか。
戒厳に加担した公職者は既に厳しい捜査と裁判を受けている。彼らの指示に従った公務員がいるかもしれない。だが、このような人々を非常戒厳への加担・協力者だと見なすのはあまりにもむごい。非常戒厳と関係のない部処の公務員も今回の調査で不利益を被るのではないかと心配しているという。同僚告発が昇進競争のライバルを蹴落とす道具として使われる可能性があるためだ。早くも投書や誹謗(ひぼう)中傷が飛び交っているようだ。
内部告発を政権維持・強化の手段として利用するのは、共産主義国家で見られるものだ。そうした国でも、告発の相当数が個人的な恨みや私益のためになされていたことが後日明らかになっている。事実、公務員たちの間では今、「共産主義国家か」とささやかれているという。政府はこうした声を軽視してはならない。
現代の民主主義国家でこのような形の内部告発制度を運営している国はない。公職者の敵味方分けや政治報復だということを皆が知っているからだ。政権が変わるたびに「前政権に協力した」という理由で公務員をあぶり出すなら、どうやって国を維持していこうというのか。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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