▲イラスト=UTOIMAGE
北朝鮮の挑発が日常化している昨今、韓国はその脅威にどれだけ実質的な対応ができているのだろうか。最近、記者が参加した米国務省のブリーフィングで明らかになったほろ苦い現実は、韓国の外交安保の現住所をまざまざと物語っている。
【写真】「クリスチャン・ディオール」のフード付きコートで話題になった金正恩総書記の娘ジュエ氏
米国は国連安全保障理事会(安保理)決議に違反し、北朝鮮から入ってくる石炭や鉄鉱石などの..
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▲イラスト=UTOIMAGE
北朝鮮の挑発が日常化している昨今、韓国はその脅威にどれだけ実質的な対応ができているのだろうか。最近、記者が参加した米国務省のブリーフィングで明らかになったほろ苦い現実は、韓国の外交安保の現住所をまざまざと物語っている。
【写真】「クリスチャン・ディオール」のフード付きコートで話題になった金正恩総書記の娘ジュエ氏
米国は国連安全保障理事会(安保理)決議に違反し、北朝鮮から入ってくる石炭や鉄鉱石などの鉱物を海上で不法に積み替え、中国に引き渡した船舶7隻を制裁対象とすることにした。同船舶7隻の行為は2006年の北朝鮮初の核実験以降に採択した安保理決議1718号に真っ向から逆らう行為だ。同決議は、武器禁輸、資産凍結、旅行禁止など、北朝鮮の核開発資金源を完全凍結するための強力な措置を盛り込んでいるが、現実の壁はいまだに高い。
問題は決議違反と思われる事例であるにもかかわらず、当該船舶を制裁対象に上げる過程が至難の極みだということにある。安保理理事国15カ国のうち、たった1国でも異議を申し立てる場合、制裁が霧散するためだ。北朝鮮の心強い後ろ盾である中国とロシアが常任理事国の座を占めている限り、米国の制裁推進が「闇のうちに無力化される」のは火を見るよりも明らかだ。同日、米国務省が「違反の事実を突き止め、暗闇からさらけ出す」と発表したことが、この国際外交の乱脈ぶりをそのまま表現している。
しかし、ここで私たちが質問を向けるべき相手は米国ではない。いざこの暗闇の中で自ら目を閉じたのは果たしてどの国なのだろうか。利害当事国である韓国だ。北朝鮮はこの間、労働者約5万人を海外に派遣して外貨を稼ぎ、悪名高いサイバー犯罪で1年に約2兆ウォン(約2130億円)以上を手にしている。また、石炭と鉄鉱石の輸出で年間5000億ウォン(約530億円)以上を確保し、核とミサイルの開発に注いでいる。そして、この大量破壊兵器(WMD)と弾道ミサイルの脅威を直接受けるのは、ほかならぬ韓国なのだ。
今年9月、安保理議長国を務めた韓国は、北朝鮮関連会議をいくらでも開催することができたが、1件も開かなかった。当時理由について尋ねると、韓国代表部は「北朝鮮が挑発を敢行すれば、国際社会と協議する」と回答した。しかし、すでに韓国は直接的な被害当事国であり、北朝鮮の「核に向けた野心」を真っ先に阻止しなければならない利害当事国ではないのか。昨年は、北朝鮮の安保理決議違反を調査していた国連対北朝鮮制裁委傘下の専門家のパネリストまで、ロシアの反対と中国の棄権により任期延長に失敗している。もはや北朝鮮の不法行為を見つけ出す作業は何倍も難しくなっているのだ。
中国、ロシア、北朝鮮の癒着は現実に行われており、北朝鮮による不法の外貨稼ぎは明確であるにもかかわらず、なぜ韓国だけが目をつぶっているのか。「国益には理念なし」という言葉を口にする韓国の外交官たちが、これからは行動でその言葉を証明しなければならない時を迎えている。国際政治のリングで当然、韓国の声を上げなければならない。北朝鮮の安保理決議違反に対しては、批判にとどまるだけではなく、実質的な制裁措置を引き出すくらいの努力はあってしかるべきだ。
ニューヨーク=尹柱憲(ユン・ジュホン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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