韓国与党・共に民主党は、野党だった尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権下の昨年12月、政府が提出した予算案を4兆1000億ウォン(約4380億円)削減し、野党単独で強行採決した。政府・与党は最後まで民主党の説得を試みたが、同党は多数で押し切った。与野党合意なしに予算案が可決されたのは憲政史上初めてだった。
【表】来年度予算をめぐる与野党の争点
民主党は当時、大統領秘書室、国家安保室、検察・警察の特殊活動..
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韓国与党・共に民主党は、野党だった尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権下の昨年12月、政府が提出した予算案を4兆1000億ウォン(約4380億円)削減し、野党単独で強行採決した。政府・与党は最後まで民主党の説得を試みたが、同党は多数で押し切った。与野党合意なしに予算案が可決されたのは憲政史上初めてだった。
【表】来年度予算をめぐる与野党の争点
民主党は当時、大統領秘書室、国家安保室、検察・警察の特殊活動費を全額削減し、政府予備費も半分に減らした。基礎研究、量子、半導体、バイオなどの研究開発予算も815億ウォンカットした。しかし、李在明(イ·ジェミョン)政権で与党になった民主党は、来年度予算案で特殊活動費を復活させ、政府の予備費も増額した。「未来産業」を強調し、研究開発予算も大幅に増やした。野党国民の力は「過去の予算案交渉で一部の民生予算増額分まで全額削った民主党だが、与党になるとダブルスタンダードを見せている。今回も与野党合意のない予算案を押し付けるとすれば、李在明政権初の予算案処理は多数党の横暴として記憶されることになる」とした。
国会予算決算特別委員会(予算決算委)は今月17日から小委員会を開き、総額728兆ウォン規模の政府予算案を審議してきた。うち1211億ウォンを減額する一方、196億ウォンを増額し、当初予算案と比較した純減は1015億ウォンだった。対立を解消できなかった100件余りの予算項目については小小委員会で協議したが、保留を繰り返し、与野党の溝を埋めることができなかった。結局予算決算委は与野党指導部に交渉を委ねたが、院内代表同士では予算案に合意できなかった。
国民の力は李在明政権の現金性支援など財政投資事業を「最も削減すべき」と指摘している。李大統領の代表ブランドである地域通貨(地域愛商品券)を発行するための1兆1500億ウォンの国費支援、政府主導で官民が未来産業育成に投資する1兆ウォン規模の国民成長ファンドなどだ。李大統領が最近合意に至った韓米関税・安全保障交渉の後続措置として、来年度予算案に編成した1兆9000億ウォン規模の「対米投資支援政策金融パッケージ」なども減額すべきと主張している。国民の力は「具体的な経済発展策も示さずに国家債務を急激に増やし、さまざまな現金バラマキとファンド出資事業に集中した無責任な予算案だ」と批判した。
国民の力は来年度予算案に盛り込まれた大統領室特殊活動費、政府予備費などについても「ダブルスタンダード」だとして反対している。韓国政府は来年度の大統領秘書室と国家安保室による特殊活動費として82億5100万ウォンを計上した。大統領室の特殊活動費は大統領がさまざまな功労者に与える激励金、祝儀、弔意金、餞別や出所を明らかにしにくい国家安保室の保安活動などに充てられる。民主党は昨年11月の予算審査当時、尹錫悦政権の大統領室の特殊活動費を「不要な小遣い」「なくても国家運営に何の支障もない」などとし、82億ウォンの予算を全額削減した。民主党は昨年半分(2兆4000億ウォン)も削減した予備費を来年度予算案では4兆2000億ウォン規模に復活させた。予算決算委に所属する国民の力の議員らは例年並みの4兆~5兆ウォンの削減を主張している。
民主党は与野党が合意できない場合、予算案を政府原案通りに本会議に自動的に上程させる戦略も検討しているという。国会法によれば、予算決算委の来年度予算案処理期限は11月30日だ。与野党がそれまでに合意できなければ、予算案は12月1日の本会議に自動的に上程される。民主党の朴智慧(パク・ジヘ)広報は記者団に対し、「最大限予算決算委での合意を試みる」としながらも、「難しければ政府案が本会議に上程され、その後に修正案を上程する方式で進みそうだ」と説明した。
しかし、民主党にとっては、李在明政権初の予算であるだけに、土壇場まで野党との合意を引き出そうとするとの見方も出ている。民主党の朴洙賢(パク・スヒョン)首席広報は「院内代表団を中心に与野党間で争点の合意を試みるための協議が予想される」と述べた。与党関係者は「大統領は最近『野党の主張に一理があるならば、思い切って予算を採択しろ』と述べている」とし、「昨年史上初の予算案野党単独処理に続き、今回も与野党合意のない予算案を成立させることは国政にとっても負担だ」と話した。
このため、与野党が水面下の交渉で合意点を探るとの見方もある。特に与野党間で地域の陳情に基づく予算をねじ込むなど妥協の可能性も指摘されている。予算決算委関係者は「与野党いずれも昨年、地域予算を確保できず、今年は必要だ。陳情を行う議員も以前よりはるかに増えた」と語った。
シン・ジイン記者、イ・セヨン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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